不妊症とは | 産婦人科専門医・周産期専門医からのメッセージ

産婦人科専門医・周産期専門医からのメッセージ

 第一線で働く産婦人科専門医・周産期専門医(母体・胎児)からのメッセージというモチーフのもと、専門家の視点で、妊娠・出産・不妊症に関する話題や情報を提供しています。女性の健康管理・病気に関する話題も併せて提供していきます。

 まずは「不妊症」という言葉の定義から入りましょう。不妊症とは「生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間性生活を行っているにも関わらず、妊娠の成立をみない場合」と定義されています。ある一定期間については1年から3年まで諸説あります。しかし、一般的には2年と考えられています。

 正常な夫婦生活を営んでいる場合、結婚後6ヶ月で約65%・1年で約80%・2年で約90%・3年で約93%が初回妊娠に至るとのデータ(累積です)があります。2年以降の初妊率はほぼ一定でほとんど増加しません。これを根拠に国際産婦人科連合(FIGO)では不妊期間が2年以上のものを不妊症と定義しております。本邦でも2年に規定する場合が多いのは同様の根拠です。

 よく似た言葉に「不育症」があります。これは、「妊娠は成立するが流産や早産を繰り返して生児が得られない場合」と定義されます。狭義には不妊症と区別されますが、広義には不妊症の中に含む場合もあります。

 ただし、こうした定義がなされた時代に比べ、現代では結婚年齢が上がってきているため、女性は若干妊娠しにくい傾向にあります。このため夫婦の年齢にもよりますが、臨床的には1年間で妊娠に至らなければ不妊症の疑いがあると判断して検査や治療に入ることが一般的になってきています。

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