2013年2月4日(月曜日)

第1148回 上司の心得



韓非子 ( かんびし ) の楊榷 ( ようかく ) 篇に上司と下役との関係について適切な助言がある。


「 いったい物には適性があり、才能には用い場所がある。

だれもがしかるべき場所にいたならば、上の者は無為でいられる。 鶏には夜明けの時を告げさせ、猫にはネズミをとらせるというように、それぞれにその才能を用いたならば、上の者は無為でいられる。

 上の者が長所を頼みにすると、仕事はうまく運ばない。

 自尊心が強く自分の能力を誇ると、下の者に欺かれる結果となる。 雄弁で利口で、優柔な性格では、下の者に付け込まれる。

 上の者と下の者とが為すべきことを取り違えるようでは、国は治まらない。 」 ( 町田三郎訳 )



 このような観察眼を韓非子はどこで習得したのか、驚くほかないが天才とはこのようなものであろうかと納得するしかあるまい。 才能のある上司がなんでもやってしまうと、下の者は自己否定された気分になって「 まあ、あの人のやりたいようにさせておけばいいや 」と適当な仕事しかしなくなる。

 上司が本当はできるのにできないふりをして、下の者をほめながら上手に使うとガゼンやる気になって能力以上の仕事をするようになる。

 下の者と張り合って同じ仕事を、「 俺の方が売り上げも仕事量も上だ 」と誇るようでは全体の仕事の効率は落ちる。


 無為の境地を学び、下の者の用則を学べば、上下の関係は整うのである。