YNGWIE MALMSTEEN「リッチー・ブラックモアの影響は受けていない」 | ʎʞɹǝ pɐǝɥuǝʞɹᴉq

イングヴェイ・マルムスティーン

「俺の演奏スタイルはリッチー・ブラックモアとは似ても似つかないものだ。彼はブルース・ギタリスト。」

 

Yngwie Malmsteen

 

イングヴェイ・マルムスティーン(Yngwie Malmsteen)は、10歳頃にリッチー・ブラックモア(Ritchie Blackmore)を聴くのを完全にやめたという。そのため、ブラックモアが自身のサウンドに影響を与えることはなかったと、今年のHellfestの記者会見で、そう主張しています。

「ブラック・サバスもレッド・ツェッペリンも聴かなかった。何も聴かなかった。でも8歳の誕生日に(ディープ)パープルの『Fireball』を手に入れた。これはみんなチェックすべきだ。そして次に聴いたのが『Made in Japan』だった。9歳になる頃には、『Made in Japan』のすべての音を一音一音、全部弾けるようになっていた」

「10歳の時にリッチー・ブラックモアを聴くのを完全にやめたんだ。はっきりさせておこう。リッチー・ブラックモアが好きなのは間違いないが、俺の演奏スタイルはリッチー・ブラックモアとは似ても似つかないものだ。彼はブルース・ギタリストであり、史上最高のギタリストの一人だけどね。

リッチー・ブラックモアもジミー・ペイジも大好きだ。みんな大好きだよ。でも、かなり早い段階で、いわゆるペンタトニック(5音でできた音階)・モードと呼ばれる通常のギター演奏から逸脱したんだ。俺はギターの近親相姦と呼んでいるんだが、ギタリストは皆、他のギタリストの演奏を聴いている。その聴いているギタリストはまた別のギタリストの演奏を聴き、その別のギタリストがさらに別のギタリストの演奏を聴いている。例えば、チャーリー・クリスチャン、ジョー・パス、ジャンゴ・ラインハルト、ハンク・マーヴィン、ジェフ・ベック、リッチー・ブラックモア、ゲイリー・ムーア......。彼らは皆、ギタリストの演奏を聴いていた。素晴らしいことだよ。俺はそれを非難しているわけではない。

でも、俺はクラシック・ギターではなく、クラシック・ヴァイオリンをベースにギターを弾いている。だから、ブラックモアは俺にとってはとても昔のことなんだ。“ブラックモアの影響を受けている”と言われるが、演奏をよく聴いてほしい」

 

言っていることはつい数日前に書いた内容と同じですよね。

イングヴェイは以前からずっと主張しているものの

誰も理解してくれないので

何度も繰り返し言い続けていますね。

 

 

 

YNGWIE MALMSTEENの言うことは正しい

 

イングヴェイはロック・ギタリストではありません。

イングヴェイ自身がそう言っています。

 

Young Guitarのインタビューでイングヴェイは、

自分は、リッチー・ブラックモアやウリ・ジョン・ロートのようなロック・ギタリストとは「完全に異なる」「全く違う」と力説しています。

リッチーやウリなどは、ブルース・ベースのロック・ギタリストであり、

自分は、彼らとは完全に何の関係もない全く新しいネオクラ・ギタリストだと主張しています。

 

イングヴェイは以前からずっと「俺はロック・ギタリストなんかではない」と言い続けてましたけど、

ファンやメディア等、周りはイングヴェイの本質、独自性をちゃんと理解できていないと感じるんですよねぇ。。。

実際、このYoung Guitarのインタビューアの最初のコメントが、「イングヴェイはクラシック音楽をロック・ギターで表現したギタリストだが、リッチーやウリも同様のアプローチをとっていますね」ですからね。

リッチーやウリもイングヴェイと同様のアプローチをとっているというのは、イングヴェイも言う通り、勿論、間違いです。

 

リッチー、ウリはロックであり、イングヴェイはネオクラで、まったくの別物。

リッチー、ウリは、ロックに一部、クラシック音楽フレイバーの味付けを加えているだけであり、基本は典型的ハード・ロックです。

イングヴェイは、彼らのロックの部分は引き継がず(上のインタビューでは「すべてを窓から放り出した」と表現)、そのクラシック音楽フレイバーの部分を味付けとしてではなく主役として扱うネオクラという新しい音楽を作り上げた開拓者です。

 

つまり、リッチーはブルース・スケールを使用したロック音楽であるのに対し、イングヴェイはハーモニック・マイナー・スケールを使用したネオクラ音楽であり、イングヴェイ自身が熱く語る通り、全く異なる音楽なわけです。(上のインタビューでは「俺以前には誰もやっていなかった」と述べています)

 

イングヴェイはネオクラ音楽のパイオニアですので、リッチーやウリのようなそれまでのロックとは違うということを強調するのは当然でしょう。

 

イングヴェイの気持ちは痛いほどよく分かります。

イングヴェイはネオクラの創始者であるという自負があるのに、イングヴェイより前から活躍しているリッチーやウリと同類と言われたら自分が創始者であるということを否定される形になりますからね。

 

イングヴェイとしては、自分がロックンロールではない新しい音楽を始めたパイオニアであることを皆にちゃんと認知しといてもらいたいわけですが、しかし周りはなかなかその辺のことをしっかりと認識してくれていないというのが現実です。

 

YNGWIEのファンは特に何も考えず好きなYNGWIEの音楽を聴いて楽しめばいいだけなんですけど、

ただYNGWIE自身が、創始者・開拓者である自身の独自性、オリジナリティをもっと皆に分かってもらいたいと思っているわけなんですよね。