土田よしこ先生が亡くなられた。

がっくーん、である。

週刊マーガレットで「つる姫じゃーっ!」を連載していたのは、1973-1979年である。
その前の「よしこでーす!」の連載を含めると、ほとんど1970年代の女性向け(と限定してはいけない)ギャグマンガの先駆者だったのである。

1970年代は「女性とは貞淑であれ、お淑やかであれ、上品であれ、美しくあれ」と言われていた時代である。

その時代に、およそ、その正反対の行為・言動を取り続け、お淑やかな女の子がやってはいけない行動を全部取っていた「つる姫」と言うキャラクターがこの先生によって創造されたのである。

つる姫は、人間が自分らしく、自分の思う通りに、何物にも制限も限定もされず、抑圧や弾圧の軛を絶ち、他人に解釈されない生き方、欲望の赴くままの生き方をし続けてきた人物である。

ただ、1970年代に、その自由奔放さを発揮するため、その容姿はまあ、見事なカッパハゲ(今、この言葉は使用禁止か)。
およそ、美しさ、可愛らしさと言った女性性とは正反対の容姿を取っていたのである。
(これはある意味、当時の男性社会につけいられない「武装」だったのかもしれない。)

それから、半世紀。
筆者の視点は、サル助や又五郎の視点を越え、ハゲマス城のお殿様やご家老、元内先生や逆蛍光禿殿の視点に切り替わってきた。

当時の女性たち(男性も含むか)の息苦しさややるせなさを、やすやすとその容姿で突破したアクティブなつる姫に、当時の筆者は快哉を、そして、今は慈しみの気持ちを持つのである。

50年後、つる姫はどこで何をしているだろうか。
お城を継いだか、専業主婦か、孫はいるのか、仕事はまだしているのか。

そんなことを考えさせてくれた土田よしこ先生に、心から感謝の言葉を送りたい。

人間の心の解放が早くなされるように側面から応援してくれた先生の作品群に、心から拍手を送りたいのである。

では、つる姫の一番好きなセリフを採録。
「けっ、グローブなら貸さねーよ。」

土田よしこ先生のご冥福を心よりお祈りいたします。