俳優の貴家堂子さんが亡くなった。
アニメ「サザエさん」のタラちゃんの声の人である。
87歳。
年代で言えば、60代の筆者たちの母親の世代である。
筆者たちの世代で言えば、タラちゃん以外に次の声が思い出せる。
・チンク(リボンの騎士)
あまり碌なことをしない出来の良くない天使だったか。
・アクビちゃん(ハクション大魔王)
可愛らしい女の子で、ちょっと余計なことをしてしまう子であった。
・ハジメちゃん(天才バカボン)
言わずと知れたバカボン一家の優等生である。
この三人にタラちゃんが加われば、貴家堂子さんのワークスとしては、ほぼ取り揃えとなるか。
こうしてみると「枠の中に収まらない規格外の可愛らしい人」というくくりが出来そうだ。
「普通の会話が通じなさそうな人」と言ってもいいかも知れない。
題名は失念したが、やはり半世紀近く前のアメリカドラマのコメディで、貴家堂子さんがちょっとセクシーな若い女性の声を当てていたことがあった。
よく向井真理子さんが当てそうなキャラクターであった。
その役を貴家堂子さんが当てると、あら不思議、妙な色気が出てきていたのである。
タラちゃんの声なのに、である。
小林清志さんと同様に、世人に代え難い声だったのかもしれない。
53年間も3歳児の声をずっと続けてきた偉大さに、脱帽するばかりである。
同じ時間、親子を演じてきた加藤みどりさんの悲しみはいかばかりだろうか。
貴家堂子さんのご冥福を心よりお祈りします。