御厨さと美先生が亡くなった。

 

享年74。

 

「裂けた旅券」等、後年の作品の方が有名だと思う。

 

ただ、筆者の世代には、小学館の月刊「小学六年生」に載っていた「ハロー6ワイドショー」が記憶に残る。

当時、「みくちゃん」というキャラクターで、紙面で活躍していたのだ。

 

昭和46年4月から翌年3月まで、随分楽しみにしていたのである。

3年後に同誌を見たら「ろくだのぼる」という漫画家と一緒にこのコーナーを運営していた。

 

そうさなぁ。

まだ、漫画の同人誌も読者同士の交流も、一切ない時代に、こんな形の連載はなかった。

当時の小学6年生は、燃えたのである。

 

それ以前は、少年マガジンの「パンパカ学園」とかハゲた山口琢也の連載くらいしかなかった。

 

言うならば、この先生、次の時代、次の次の時代の先取りをしていたのではないかな、と思う。

 

絶対に、初めて会う10歳ちょっと年下の男女からは「小六の連載、見てましたよ」と言われたはずである(もし、筆者も会っていたら言ったと思う)。

 

それを励ましと感じたか、そう思わなかったか、その辺は分からない。

自分自身の輝かしい歴史として捉えていたか、それとも、若い頃の生活の手段として忘れ去りたいものとして感じていたのか、それも想像の域である。

 

しかし、今の60代以下の元少年少女は、この作品を彼の輝かしい歴史だと、考える。

 

訃報を聞き、本当に残念だと感じているのである。

 

心の中にいる当時12歳の筆者が、こう言っている。

「みくちゃん、楽しい作品を本当にありがとうございました。亡くなられたと聞き、本当に悲しくてたまりません。」

62歳の筆者も、同様に思っている。

 

新しい沃野を拓いた結果を見た気持ちは、どうだったのだろう。

そんな開拓者、次代の筆頭、ファーストペンギンが亡くなられてしまった。

 

本当に悲しくて堪らないのである。

 

御厨さと美先生のご冥福を心よりお祈りします。