藤子不二雄Aさんが亡くなってしまった。

 

藤本弘さんとコンビ解消してから、35年。

盟友の元に、遅れて行ったことになるか。

 

さて、その業績は、由緒正しきサイトを確認されるとよろしいと思う。

 

筆者は、個人的な話をチョロチョロ。

昭和の半ばに少年キングあたりに載った「黒ベエ」とかに描かれていたサラリーマンの悲哀を描いた漫画もかなり興味深かった。


また、「マボロシ変太夫」という異世界に迷い込む話も、好きだった。

迷い込んだ先の貨幣価値がものすごく高く、「千円定期」なんて、概念も愉快だった。

 

「ブラックユーモア短編」シリーズも、秀作ばかり。

「ブレーキふまずにアクセルふんじゃった」とか「ひっとらぁ伯父さん」とか、いろいろあった。

後に判明するF先生の作品世界と、言うならば、表裏の関係にあったような気がする。

このドロドロ感は、嫌いではなかった。

もう、今持っている生活も財産も信用も価値も、すべてぷっ壊して、一瞬のカタルシスを得る話も、他にはあまりない作品群であった。

 

そうそう、それからトキワ荘の話。

 

石森章太郎が、たくさん書いている自伝の中で、若くして亡くなった自分の姉が、トキワ荘のメンバーの中の一人が好きだったことを書いていたのである。

 

果たして誰だったのか。

 

先日、ネットを見たら、安孫子先生だったという説が書かれていた。

 

さもありなん、と思った。

 

「まんが道」に描かれている満賀道雄くんは、劣等感の塊で、いじけてひねこびている。

しかし、当時の安孫子先生の姿をお写真で見ると、前髪を伸ばした一見文学青年風。

 

富山県氷見出身の新聞記者出身の文学青年に、宮城県石巻出身の文学少女が、恋をしてもおかしくなさそうである。

 

そういえば、「不気味な5週間」シリーズの「目のない舞姫」は、このお姉さんをどこか意識した作品だと思えるのである。

 

一度、お見かけしたことがある。

何年か前のコミックマーケットの有明会場の外のデッキを、おつきの人に囲まれて、急いで移動されていたのである。

 

当時、もう80代。

エネルギッシュに走っていたのである。

 

まだまだたくさんの作品を書いてくれるものだと思っていたのだが、叶わなかったのである。

 

藤子不二雄A先生のご冥福を心からお祈りいたします。