あっという間の1時間が過ぎ、スタッフとの約束の時間が来て、
レコーディングスタジオに行く前の道から撮影は再開した。
「ここが録音スタジオだ」
『シンラン(新郎)のおかげで日本のスタジオにこられるなんて』
段取り通りに会話をはじめる。
「ここで、日本の曲も収録するんだ」『日本語で?』
「あぁ」『わかるの?』「もちろん!」
すまして当然のように言うと、彼女は爆笑した。
事前に番組の収録とはスタッフから伝えてあり、カメラも設置済みとはいえ、
彼の職場に入るときにはすごく緊張した。
『あんにょんはせよ~(こんにちは)』と挨拶をして、勧められた椅子に腰掛ける。
彼は録音ブースに入っていき、姿が見えなくなって、日本人スタッフの中に
ひとり取り残された私は少し緊張した。
ほどなく音楽が流れ、彼の声だけが聞こえてくる。
「この中でフリースタイルで」「ワカリマシタ」
彼とディレクターの日本語でのやり取りを聴いて、『あぁ、フリースタイルね』
そう、相槌を打つと、横に座っていたスタッフが親切に声をかけてくれ、
笑い合い、少し緊張がほぐれた。
何度も繰り返される同じフレーズの日本語の歌詞を聞いていると、
すぐに覚えて彼と一緒に口ずさむ。
カメラが寄ってきたのに気づいて、あわてて彼と同じようにオーバーに
アクションしながら歌い、『フューチャリングしたいな』そう呟いた。
これは番組でするはずだったミッションの名残り。
だから本当に軽い気持ちで言ったのだ。
本当にこの曲で私がレコーディングをすることになるとは思いもしなかった。
今回、ヒョンジュンのレコーディングスタジオでの撮影の経緯は
他の夫婦はみんなカップルで一緒に歌う夫婦のテーマ曲があるのに、
私たち夫婦は別々に曲を出す。
だから、共演することのない私たちに番組内でテーマ曲を使って
ミッションしている絵柄が欲しいと今回番組側から提案されたのだ。
本当ならば、今度発売するはずの彼の曲が流れるはずだったが、
ヒョンジュンがそれを拒否した。
まだ曲が出来上がっていないし、そういう形でこの曲を使いたくないと。
そこで結局撮影は、日本で仕事をする夫を見守るという形になった。