問い・浄土真宗・親鸞会 浄土真宗講座

一切経の中で最も重要で大切な釈尊のお言葉とは何でしょうか。
 これこそが仏教だと断言できる釈尊のお言葉を教えてください。

 

答え|浄土真宗・親鸞会公式サイト
 あなたの質問にお答えするには、一切経を幾度も読んでみなければなりません。

 一切経を幾度も読破なされた親鸞聖人は、それは『大無量寿経』の中に説かれていると喝破されています。

 

それ真実の教を顕さば、すなわち『大無量寿経』これなり(『教行信証』教巻)

“釈迦の一切経の中で、唯一真実の経は『大無量寿経』である”

 

 その『大無量寿経』には、阿弥陀仏の本願が説かれています。

 それを『正信偈』には、

如来所以興出世

唯説弥陀本願海
「釈迦如来が世に現れられたのは、弥陀の本願一つを説くためであった」
と親鸞聖人は言われています。

 

 阿弥陀仏の本願とは、弥陀の誓願ともいわれますように、阿弥陀仏が
「どんな人も 我をたのめ 必ず絶対の幸福に救う」
と、命をかけて約束されているお言葉です。

 

 そして親鸞聖人は、仏教で最も重要で大切なお言葉は、その阿弥陀仏の本願の真意を説き明かされている釈尊の「本願成就文」であるとおっしゃっています。

 

「横超」とは、すなわち願成就一実円満の真教・真宗これなり(『教行信証』信巻)

“阿弥陀仏の本願を説き明かされた、釈尊の「本願成就文」の教えこそが、時空を超えた完全無欠の真実の教えである”

と断言されています。

 

 かくて聖人は、「本願成就文」の教えを『教行信証信巻』上下二巻で著し、詳細に解説されています。

 親鸞聖人より如信上人(聖人のお孫)、その如信上人より、面授口決された覚如上人は、こう証言されています。

 

 それについて三経の安心あり。その中に『大経』をもって真実とせらる。『大経』の中には第十八の願をもって本とす。十八の願にとりてはまた願成就をもって至極とす(改邪鈔)

“親鸞聖人は、「釈尊が弥陀の救いを説かれた『大無量寿経』『阿弥陀経』『観無量寿経』の三経の中で、『大無量寿経』一つが真実の経である。『大無量寿経』の中では、阿弥陀仏の十八願が根本である。その十八願の弥陀の仏意を鮮明に説かれている、釈尊の『本願成就文』が最も大切な至極の教えである」と教授なされた”

 

 このように、弥陀の本願は根本ではあるが至極の教えは「本願成就文」であると、親鸞聖人の教えを明らかにされています。

 同じく『改邪鈔』には、

 

かの心行を獲得せんこと、念仏往生の願成就の「信心歓喜乃至一念」等の文をもって依憑とす、このほか未だ聞かず(改邪鈔)

“それが弥陀の誓いの真実か、どうかの判定は、釈尊の「本願成就文」をもって基準とすると聖人は教えられた。だから「本願成就文」の教えのほか、私は親鸞聖人から聞いたことがない”

 

 この覚如は、「本願成就文」の教え以外に、親鸞聖人から教えられたことがないとまで明言されています。

 釈尊の説かれた「本願成就文」の教え以外に、仏教もなければ浄土真宗の教えもないということがお分かりになるでしょう。

 では「本願成就文」とは、どんな教えでしょうか。

「本願成就文」の教えは、『大無量寿経』下巻に、漢字、四十字で説かれている釈尊のお言葉です。

 

諸有の衆生、其の名号を聞きて、信心歓喜せんこと乃至一念せん至心に廻向せしめたまえり。彼の国に生まれんと願ずれば、即ち往生を得、不退転に住す。
唯五逆と正法を誹謗せんとをば除かん


(要約)どんな人も、その名号を聞く一念に絶対の幸福(信心歓喜・正定聚不退転)に救う、ただ五逆と法謗の者は除くと、弥陀は誓われている。

 

と、阿弥陀仏の救いを釈尊は明らかにしていられます。

 今は、詳しい説明はできませんが、親鸞聖人が、この釈尊の「本願成就文」の教えを依憑とせよと仰せられた理由を、一、二あげておきましょう。

 まず、阿弥陀仏の本願では、信心で助かるのか、念仏で助かるのかハッキリしません。

 だが、釈尊の「本願成就文」で、念仏は説かれず「信心歓喜乃至一念」の信心一つで助かることがハッキリします。

 これによって、親鸞聖人は唯信独達の法門を樹立されたのです。

 次に、阿弥陀仏の本願では、どうすれば救われるのかハッキリしません。

 それが、釈尊の「本願成就文」で「その名号を聞きて」と、聞く一つで助かることがハッキリします。

 これによって、「仏法は聴聞に極まる」と親鸞聖人や蓮如上人は教えられているのです。

 また、阿弥陀仏の本願には、必ず助けると誓われていますが、この世でか、未来世でかハッキリしません。

 それが釈尊の「本願成就文」で、「即得往生住不退転」と、弥陀の救いは死後ではなく現在であることがハッキリします。

 

 このように釈尊の「本願成就文」の教えによって親鸞聖人は、阿弥陀仏の救いは「唯信独達」であり、弥陀の救いは「聴聞に極まる」のであり、弥陀の救いは「平生業成」であることを開顕なされたのであります。

 

 ここに親鸞聖人が、「本願成就文」をもって仏教の至極となされた理由があるのです。

この本願成就文が示されたことによって、法蔵菩薩の誓願が完成していることが明らかになり、私たちの「後生の一大事」も明るく、大安心の心になるのですね。

 

※1)大無量寿経…釈迦の説かれた七千余巻のお経の中で、唯一の真実の経。
※2)釈尊…約2600年前、インドに生まれ、仏教を説かれた方。釈迦とも、世尊・ブッダともいわれる。
※3)本願成就文…釈迦が、阿弥陀仏の本願の真意を分かりやすく解説されたもの。
※4)面授口決…面と向かって直接、教えを受けること。
※5)唯信独達の法門…ただ信心一つで救われる、という教え。