春になると、くしゃみが止まらない。
目はかゆいし、鼻はムズムズする。
「なんで日本だけこんなに花粉症がひどいんだろう?」
そう思ったことはありませんか?
ニュースでは毎年のように「今年は過去最多レベル」と報じられ、
マスク姿の人が街にあふれます。
もしかして――
昔、日本がスギを植えすぎたから?
たしかに、それは一因です。
戦後、日本は住宅不足を解消するためにスギを大量に植林しました。
成長が早く、建材に向いていたからです。
しかし時代は変わり、
安価な輸入木材が増え、国内林業は衰退。
伐採されるはずだったスギが、そのまま花粉を大量に飛ばす存在になりました。
だから「日本=スギ=花粉症」というイメージが強いのです。
でも実は――
花粉症は日本だけではありません。
アメリカではブタクサ(ragweed)が有名です。
ヨーロッパではカバノキ(birch)。
地中海沿岸ではオリーブの花粉が問題になります。
つまり、花粉症そのものは“世界共通”なのです。
では、なぜ日本はここまでひどく感じるのでしょうか?
理由は、いくつかの条件が重なっているからです。
・スギの植林面積が非常に広い
・都市部に人口が集中している
・アスファルトが多く、花粉が地面に吸収されにくい
・大気汚染が花粉を刺激物質に変化させる可能性
これらが組み合わさることで、
“体感としてのつらさ”が強くなっているのです。
つまり、日本だけが特別なのではなく、
日本は「条件がそろってしまった国」だったということ。
そしてもう一つ、見逃せない点があります。
世界的に、アレルギー疾患は増加傾向にあります。
食生活の変化、住環境の変化、清潔すぎる生活…。
私たちの体そのものも、
昔とは違う反応を示しているのかもしれません。
花粉症は「スギが悪い」だけの話ではない。
歴史、都市構造、環境、そして私たちの体質。
いくつもの要素が絡み合った“現代の病気”なのです。
そう考えると――
「日本だけの悲劇」ではなく、
これは世界が直面している課題の一つなのかもしれません。
今年も春はやってきます。
マスクをしながら、少しだけ視野を広げてみる。
すると、くしゃみの向こうに、
意外な歴史と構造が見えてくるはずです。