■■ 国際派日本人養成講座 ■■ 国柄探訪: 傲慢な国、謙虚な国 | 護国夢想日記

護国夢想日記

 日々夢みたいな日記を書きます。残念なのは大日本帝国が滅亡した後、後裔である日本国が未だに2等国に甘んじていることでそれを恥じない面々がメデアを賑わしていることです。日本人のDNAがない人達によって権力が握られていることが悔しいことです。

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  国柄探訪: 傲慢な国、謙虚な国
             ~ ジェイソン・モーガン著『アメリカも中国も韓国も反省して日本を見習いなさい』を読む

 アメリカの南部人には、日本人の謙虚さが良く分かる。

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■伊勢雅臣 講演「皇室の祈り-国民を結ぶ利他の心」■
・公益財団法人モラロジー研究所「公開教養講話」
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・公益財団法人モラロジー研究所 柏生涯学習センター kashiwa@moralogy.jp
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■1.「傲慢× VS 謙虚○」

 歴史学者で麗澤大学助教授のジェイソン・モーガン氏が面白い本を出した。

 

題して『アメリカも中国も韓国も反省して日本を見習いなさい』[1]。

 

最近、はやりの欧米人による自虐史観克服本の一つであり、この面についてはメルマガ「ロシア政経ジャーナル」で北野氏が鋭い指摘をされているので、そちらをご覧戴きたい[2]。

 弊誌では、この本のもう一つの魅力を紹介したい。それは表紙デザインで「傲慢× VS 謙虚○」と大きく書かれた点に表れている。

 

この本の中身はタイトルから想像するほど「傲慢」なものではなく、それよりも「アメリカも中国も韓国も(傲慢さを)反省して(謙虚な)日本を見習いなさい」と主張しているように読めた。モーガン氏はこう書いている。

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 私は神経質で、すぐ緊張し、気を使ってしまうタイプですが、初めて日本に来たとき、すぐにくつろげている自分に気がつきました。

 

不思議に思って考えて見たところ、日本人は外国人の私に対してたいへん寛容だったのです。[1, p143]
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 謙虚だからこそ外国人にも寛容になれるのである。

 

モーガン氏はアメリカ南部のルイジアナ州ニュー・オリンズ出身という。

 

思い返してみると、私もアメリカ各地を旅行して、南部が一番、くつろげた思い出がある。

 どうやら謙虚さという面では、アメリカ人の中でもモーガン氏のような南部人は、日本人に近いところがあるようだ。

 

それは文化面や歴史面に起因しているのだろう。今回はモーガン氏の著書から特にこの点を考えて見たい。


■2.遅れて参加したアウトサイダー

 モーガン氏の出身地のルイジアナとは、フランス王ルイ14世の土地という意味であり、ニュー・オリンズとは、新オルレアン、ルイ15世の摂政オルレアン公フィリップ2世に因むそうな。その名の通り、フランス人が開拓した植民地だった。

 しかし18世紀中葉のフレンチ・インディアン戦争で、英仏の植民地軍が戦い、フランスが負けてルイジアナ州のほとんどを含んだフランス領土がイギリス領となった。

 

さらに19世紀初頭、ナポレオンが戦費調達のために、ニュー・オリンズも含めて北米大陸中央部に残った所有地をアメリカに売却したことで、アメリカ合衆国の領土となった。

 ニュー・オリンズにはフランス系住民の子孫が多く住んでおり、フレンチ・クォーターという一角は今もヨーロッパ的な街並みが残っている。

 

フランス文化や近くのカリブ海の影響で、食べ物も伝統的でローカルなものが美味しい。

 

黒人がジャズを生んだ土地でもある。文化的な多様性がくつろいだ雰囲気を醸し出している。

 人柄の面でも、東部や中西部のアメリカ人からはイギリスやドイツに似た謹厳さを感じるが、南部ではフランスやイタリアのような親しみやすさを感ずる事が多い。南部でくつろげるのも、こういう文化的な要因からだろう。

 歴史的要因もある。南部と言ってもバージニア州などはもともとイギリスの植民地であり、かつ初代大統領ジョージ・ワシントンを生み、独立戦争の主力として戦った米国の本流という誇りがあるが、ルイジアナ州やニュー・オリンズは前述のように、遅れてアメリカ合衆国に併合された土地なのである。

 この点は、日本が19世紀中葉に開国して、当時の欧米中心の国際社会に遅れて参加したアウトサイダーであった事と良く似ている。日本もルイジアナも主流派の持ちがちな傲慢さとは縁遠い地域なのだ。



■3.「奴隷解放の北部 対 奴隷制に固執した南部」?

 もう一つ、南部の歴史が日本と似ている点がある。南部というと日本人はすぐ黒人差別を連想する人もいるが、実はそう単純な話ではない。

 映画『風とともに去りぬ』では白人の富豪の子供達が、黒人の太ったメイドによくなついている場面も出てくる。

 

イギリスの貴族が労働者階級を召使いやメイドとして使っていたように、南部の富豪も黒人を使っていた。

 

階級や人種の差別はあったが、それを超えた家族的なつながりも相当程度あったようだ。

 そういう南部の風土が南北戦争敗戦とともに「風とともに去って」しまい、人種平等の掛け声とともに、逆に白人と黒人の間の距離が開き、家族的な親近感も失せて、人種対立がかえって先鋭化していったように思われる。

 もともと南部の産業は綿花やたばこなど人手のかかる農業が中心で、黒人労働力に依存していた。

 

そこでイギリス人商人が黒人をアフリカから拉致してきて売りつけ、その代金でアメリカの綿花を買い、イギリスの工場でそれを綿製品に加工してアフリカに輸出する、という大西洋を股に掛けた三角貿易をやっていた。

 イギリスは1807年に奴隷貿易を違法とした。貿易だけなら止めれば済む問題だが、すでに膨大な黒人奴隷を抱えていたアメリカ南部ではそう簡単には行かなかった。

 

南北戦争の頃には南部の総人口約900万人のうち、400万人近くの奴隷がいたとされる。黒人労働力は南部の産業の欠くべからざる主柱となっていた。

 リンカーン大統領は「奴隷解放の父」と称賛されているが、そもそも南北対立の発端は貿易問題だった。

 

工業化を進める北部がイギリスの工業製品に対する保護貿易を求めたのに対し、南部諸州は綿花輸出などでイギリスとの自由貿易を必要としていたのである。

 南北戦争中に出されたリンカーンの「奴隷解放宣言」は、実は敵対する南部諸州の黒人だけを対象としており、もともと北軍に属しながら奴隷制を認めていたミズーリ、ケンタッキー州、および、すでに北軍に制圧されていたテネシー州などは対象外だった。

 

あくまで南軍の地の黒人に離反を促すための戦術だった。

 この宣言が奴隷解放運動に弾みをつけた事は否めないが、その後、北部の掲げた奴隷解放に抵抗して「奴隷制に固執した南部」というレッテルが貼られてしまう。

 

公正に言えば、世界でアメリカほど人種問題で長年苦しんだ国はなく、その努力のかなりの部分は当然ながら黒人の多く住んでいた南部でなされた。

 もともと黒人の奴隷もそれほど多くなかった北部が「奴隷解放」を叫んだだけで、南部に対して「奴隷制に固執した」というレッテルを貼る傲慢さには、わが国を石油禁輸などで追い詰め、最初の一発を撃たせただけで「侵略国」なるレッテルを貼ったのと同じ狡猾さを感ずる。

 他者に対してこういう無理無体なレッテル貼りをすること自体が傲慢さの表れであり、日本人もアメリカの南部人も、その傲慢さの被害者なのである。


■4.日本人の気配りに驚く感性

 こういう歴史と文化を持った南部からやってきたモーガン氏は、日本に来て日本人の気配りを敏感に感じとる感性をお持ちだったようだ。

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 私が来日して間もない頃、驚いたのが、日本人の気配りです。

 

相手の気持ちをくみ、いわれなくても気を利かせて行動します。相手の気持ちを察するのです。

 たとえば友人の家族との夕食の際、しょう油が必要だと私が気づく前に、友人のお母さんが先に渡してくれたので、「すごい。なぜ分かったのですか?」と驚きました。

 

私の心を読んだかのような行動です。相手が動く前に気を利かせて動くシーンが、日本人には多いのです。[1, p139]
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 こういうさりげない気配りにすぐに気がつくジェイソン氏の鋭敏な感性にも、こちらの方が「すごい。なぜ分かったのですか?」と驚いてしまう。もう一つ例を挙げよう。

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 私は、中国人と日本人の観光客をすぐ判別できます。たいていの中国人は、周囲にまで目配りしません。

 

ですから、平気で道をふさいでいて、ほかの人がどうなろうと気にする様子はありません。私が「すいません」といっても知らん顔です。

 

一方、たいていの日本人は、ほかの人が通るから邪魔になると察して、あらかじめ端に寄ります。[1, p140]
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 自分自身が常に周囲に迷惑をかけていないかと目配りしているからこそ、そのような目配りをしない人々にもすぐ気がつくのである。



■5.彼らの傲慢さにどう対処していくのか

 傲慢と謙虚とは、単に文化的な問題だけではない。アメリカ、中国、韓国の傲慢な歴史攻撃が、日本人の「根っこ」を傷つけているからだ。

 

 

それに対して、日本人はどう立ち向かえば良いのか。彼らと同様の傲慢さで反撃すれば、日本人の謙虚さが失われてしまう。

 

 

謙虚に反省を続けるだけなら、謙虚さを通り過ごして、卑屈になってしまう。

 こうした傲慢な国々がひっかき回している現代の国際社会で、日本人はいかに謙虚さを失わずに彼らの傲慢さに対処していくのか、国際派日本人にとって重要な問題である。

 

 

モーガン氏の問いかけの意味はここにある。

 しかし「アメリカも中国も韓国も(傲慢さを)反省して(謙虚な)日本を見習いなさい」と言って、聞く耳を持つ相手ではない。

 

 

傲慢だからこそ、反省もしないだろう。我々日本人の方がどう対応するのか、と考えなければならない。


■6.「筋を通す」

 謙虚さを守りつつ、傲慢さと戦う一つの道は「筋を通す」という事だ。「筋」の一つとして国際法や条約がある。

 

 

例えば中国の「南京大虐殺」非難に関して、モーガン氏は次のように書く。

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 南京大虐殺は西洋では眉唾ものと思われているのに、多くの日本人は嘘を信じて反省し続けています。

 中国の戦い方の特徴は、軍服を着て戦うのではなく、国際法を無視して、一般市民を装って不意打ちしてくることです。

 

 

一般人になりすまして弾を打つのですから、反撃すると一般人を殺したように見えてしまいます。

 

 

犠牲になった人は気の毒ですが、それは日本が悪いのではなく、中国が国際法を破っているから民間人の犠牲になったのです。

 ですから日本は「われわれは国際法を守って戦った」と堂々と言えばいいだけの話です。

 

 

「ルール違反も虐殺も日本はしていない中国の方こそルール違反や虐殺をしていた」と、証拠を出して主張し、論破すればいいだけです。[1, p81]
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 国際法や条約をもとに主張すべきことを主張するのは、傲慢ではない。逆に国際法や条約を無視した言い分に屈してしまうのは、謙虚ではなく卑屈である。

 謙虚と卑屈の境目は「筋を通した生き方」をするかどうか、というところにあるのだろう。

 

 

そして傲慢とは、その「筋」を超えて、自己主張をすることである。筋を通しつつ、思いやりに満ちた接し方をすることが、謙虚な生き方なのである。


■7.「自分が悪くなくても謝ってしまう傾向」

「罪もないのにいつまでも悔い改めている」というのが、モーガン氏が感じる日本の特徴だそうだ。

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「自分が悪い」と素直に認めるのはいいことですが、事を荒立てたくないからなのか、日本人は、自分が悪くなくても謝ってしまう傾向があります。・・・

 実はアメリカ南部出身の私も、日本人に近いそのような精神性があります。

 

 

南北戦争に負けた者たちの子孫だからでしょうか。悪くなくとも「I'm sorry.」とついいってしまいます。

 北部に住んでいた時の私は、常に謝っていました。バスが遅れて職場に遅刻した時も「ごめんなさい、すみません、申しわけないです」と。

 

 

「悪いのは遅れたバスで、お前が悪いわけじゃない。謝るな」とよく言われました。

 

 

これは一人私だけではなくアメリカ南部人一般の気性と言えなくもありません。そこは、わりと日本人に近いメンタリティーなのです。[1, p3]
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 自分が悪くても謝らない傲慢な国々に囲まれて、事を荒立てないために、こちらが悪くなくとも謝ってしまう。それは謙虚ではなく、筋を曲げた卑屈さなのである。


■8.国際社会で筋を通した謙虚さを

 モーガン氏が反省を求める相手として、アメリカ、中国、韓国を挙げているのは興味深い。これに北朝鮮を加えれば、おそらくこの4国はその傲慢さから、世界で最も嫌われている国であろう。

 世界には200近い国や地域があるが、その大半は人口や経済規模からいっても小国である。

 

 

そのために自ずから謙虚な生き方をしている国がほとんどである。そして、わが国は世界有数の大国であるにもかかわらず、世界中から謙虚な国として評価されている。

 現在の国際社会は、国家は規模にかかわらず対等だというのが原則であるから、日本がどんな小国に対しても謙虚に対等に付き合っている様は、筋を通した謙虚さとして国際社会に大変好ましく受けとめられている。

 逆に、中国や韓国、北朝鮮の国際法や条約も無視した傲慢さは、多くの国が嫌い、警戒している。

 

 

従って我が日本が筋を通して、この3国に国際法や条約を守る事を要求することは、国際社会全体にとっても、好ましい影響を持たらすはずである。

 

 

我々日本人が学ぶべきは、そうした「筋を通した謙虚さ」なのである。
                                        (文責 伊勢雅臣)


■リンク■

a. 伊勢雅臣『世界が称賛する 国際派日本人』、育鵬社、H28
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アマゾン「日本史一般」カテゴリー1位 総合61位(H28/9/13調べ)

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■伊勢雅臣『世界が称賛する 国際派日本人』に寄せられたアマゾン・カスタマー・レビュー

■評価★★★★★ 国際人=愛国者ということに気づきました(結一さん)

 本書には十数名の先人達が紹介されていますが、いずれも日本人としての「根っこ」を共に有しております。その「根っこ」とは何かといえば、おそらく、愛ではないかと思うのです。

 たとえば果樹栽培の専門家である近藤亨さん。飢えに苦しむ子どもたちのために、70歳で単身ネパールに旅立ちました。
…って、え、何故?何でそんなことするの?
そんなの、愛がなければ、説明のつかない行動でしょう。

見ず知らずの人に注ぐほどの溢れんばかりの愛がある。そしてその愛は、自分の国に対しても、当然注がれているわけです。余程、ひねくれてないかぎり。そのことを愛国心、あるいは愛国者という。そのどこが危ない思想?と思います。

世界に打って出る日本人ほどの情熱、エネルギーを持つ「国際人」は、我が国のこともまた強く愛する「愛国者」ではないかと思うので。
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■参考■(お勧め度、★★★★:必読~★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. ジェイソン・モーガン『アメリカも中国も韓国も反省して日本を見習いなさい』★★★、扶桑社、H30
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/459408012X/japanontheg01-22/

2.北野幸伯「ロシア政治経済ジャーナル No.1788 ★日本の宝ジェイソン・モーガンさんとは?」
https://archives.mag2.com/0000012950/20180701001000000.html


■伊勢雅臣より

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