【知道中国 1670回】――「支那は上海の大なるものとなるべき運命を荷ひつヽ・・・」―(前田8  | 護国夢想日記

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 日々夢みたいな日記を書きます。残念なのは大日本帝国が滅亡した後、後裔である日本国が未だに2等国に甘んじていることでそれを恥じない面々がメデアを賑わしていることです。日本人のDNAがない人達によって権力が握られていることが悔しいことです。

樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1670回】        
  ――「支那は上海の大なるものとなるべき運命を荷ひつヽ・・・」――(前田8)
   前田利定『支那遊記』(非賣品 大正元年)


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「昔から中国では押さえつけられてきた者が、正義を手にしたと思い込むと、もう頭には報復しかなかった。

 

 

寛容など考えられない。

 

 

『相手の使った方法で、相手の身を治める』というのだ。

 

 

そのため弾圧そのものは、子々孫々なくなりはしない。

 

 

ただ相手が入れ替わるだけだ。

 

では、災禍なぜ起こったのだろう? それは灯明を叩き壊した和尚が寺を呪うようなものだ。

 

 

自分自身がその原因だったにもかかわらず、個人の責任を問えば、人々は、残酷な政治の圧力や、盲目的な信仰、集団の決定とかを持ち出すだろう。

 

 

だが、あらゆる人が無実となるとき、本当に無実だった人は、永遠にうち捨てられてしまう」(『私の紅衛兵時代』講談社現代新書 1990年)

――この陳凱歌の乳母の教えは、中国の歴史に照らして見て余りにも正鵠を衝いているとしか表現のしようはなさそうだ。

 

 

彼らは「相手の使った方法で、相手の身を治める」こと、つまり復仇を切り返して来たわけであり、

 

 

加えて「自分自身がその原因だったにもかかわらず、個人の責任を問えば、人々は、残酷な政治の圧力や、盲目的な信仰、集団の決定とかを持ち出す」のだから、もはや手が付けられない。

 

 

悪いヤツは他人なのだ。

 

となると、やはり自省など求めてもムダといえるのかもしれない。いやはや、ヤレヤレである。

  北京で前田らは中華民国参議院重鎮と歓談する。

 

 

  中華民国側の議員は「言辭極めて巧みなるもの」が少なくなく、彼らの「演説の要は同文同種にして數千年來親好の關係ある兩國は?親好を重ねて東洋の平和世界の平和を保持」すべしと訴え、

 

 

「日本は昔支那より文明の輸入を受けたる因縁もあ」るから、「今日は日本が支那へ立憲國の先輩として憲政の新智識と多年の經驗とを?示せられたき」ものであり、

 

 

「東洋新進の貴國」である日本が中華民国をいち早く承認することで、諸外国に対し範を垂れてもらいたいと続けたという。

  多くの議員がこう演説したなかで、古今東西を問わず革命の成立には「長日月を要」すところだが、「我中華民國の創建は僅々一ヶ月を出でず之れ吾人が私かに中外に對して聊か誇る所なり」と胸を張る者がいた。

 そこで「南支那より北支那に?斷旅行し」てきた前田の目にした中華民国の現状は、「列國と伍伴し得る底の國としての凡ての力」を備えてはいなかった。

 

 

「國として信頼し得べき程度に達」してはいない。

 

 

だから国家承認を「他に向て要求するに先だち己を整ふるこそ却て成功の捷路にては無之や」と、「彼議員諸氏の長廣舌を傾聽しつゝ愚考」したのである。

  国家としての外面に拘る前に内面の充実に励めよ。

 

 

「國として信頼し得べき程度に達」することが先決であり、そうなれば諸外国は否が応でも中華民国を国家として認めざるを得なくなる――前田は、こう説きたかったに違いない。

 

 

これを言い換えるなら、日本人が「他に向て要求するに先だち己を整ふるこそ」を「成功の捷路」と考えるのとは異なり、

 

彼らは「己を整ふる」「に先だち」「他に向て要求する」ことを「成功の捷路」と捉えているともいえそうだ。

  某日、「袁大總統の官邸に參向し民國の老雄に謁見致」し、「政治外交を懸け離れたる雜談を彼れ一話我れ一話會談」しての感想を記す。

 前田は袁世凱を「眞に一個の老英雄」であり、建国直後の「國歩艱難の秋に際し國政總攬の大任を帶び」ているだけのことはある。

 

 

だが、決して「民國第一の巨人」とは思えず、ましてや孫文、黄興、黎元洪などの「群豪」「老爺を向ふに廻し五分と五分との芝居打てるものなしと云ふ機謀權略巧に人を活殺擒□する容易ならぬ怪傑なりとは受取れ不申候」ではあるが、

 

 

「そを見えぬ處が老獪の老獪たる所以なるやも相知れ不申候」と捉えた。
《QED》
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)

 

トランプ大統領が「エルサレムがイスラエルの首都」と宣言して、全世界のイスラム圏ならびに先進国のイスラム移民が暴れています。

 

 

 トランプの意図は、イスラム世界の攪乱なのか、イスラエルの傀儡という人もいますが、この点で、先生の分析を伺いたいです。
  (NJ生、北区)


(宮崎正弘のコメント)

 

 

トランプは選挙出馬の記者会見(15年6月16日)をNYトランプタワーで開き、その折に配布した、自著『障害児となったアメリカ』のなかに、いくつかの公約が入っており、

 

 

TPP離脱、パリ協定脱退、ユネスコ拠金凍結、メキシコとの間に壁、NAFTA見直し、同盟国への防衛分担増大、そして「エルサレムをイスラエルの首都であることを歴代政権は確認したが、大使館を移転しなかった。

 

 

わたしは大使館移転も行う」とちゃんと書いてあります。
さすがにアメリカは『神の国』です。

 

 

 むろん、これにより中東情勢は『地震』に見舞われています。
 明日の桜チェンネルの番組「フロント・ジャパン」で具体的に解説予定です。

 

 

12日午後八時―九時、ホストは有本香さん、13日からユーチューブでもご覧になれます。