NHK「JAPANデビュー」裁判でパイワン族原告の陳清福氏がNHKの虚偽を証言
陳氏に告訴を断念させようとしたるNHKの「もみ消し」工作も証言
去る3月2日、第11回目となるNHK「JAPANデビュー」裁判の口頭弁論が行われ、台湾のパイワン族原告である陳清福氏(81歳)に対する原告本人尋問が行われた。
陳清福氏は、同じくパイワン族原告の華阿財氏とともに3月1日に来日、氷雨降るこの日の裁判に臨んだ。100名の傍聴席は満席となり、入れない人も出た。
陳氏は原告側代理人の高池勝彦弁護士と尾崎幸廣弁護士から約1時間、被告NHKの代理人から1時間ほどの質問に、通訳を交え日本語と中国語で堂々と答えた。
この尋問で明らかになった点はいろいろあるが、以下の諸点だ。
まず、番組では高許月妹さんの父たちが日英博覧会で「人間動物園」として「展示」されて「見せ物」にされたことが「かなしい」というストーリーになっていた。
しかし陳氏は、NHKの島田雄介ディレクターたち取材陣は「見せ物」になったという説明は一切せず、「父親がロンドンに行ったことは知っていると思うが、この人を知っているか」とだけ述べてパイワン族の集団写真を1枚見せ、高許月妹さんの父親だけ写っている写真を見せたと証言した。
また、その写真を見た高許月妹さんは「あ、これが私のお父さん」と日本語で言い、やはり日本語で「24、5歳のときお父さんが病気で亡くなったので悲しい」と言ったのだと証言した。
そして、高許月妹さんは久しぶりに父親の写真を見てなつかしく思い、高許月妹さんの日本語の「かなしい」には「なつかしい」という意味も含まれているので「かなしい」と言ったとも証言した。
さらに、島田雄介ディレクターは高許月妹さんの日本語の会話能力について「陳清福さんを交えずとも、一人で日本語で会話する能力が十分ある」と陳述しているが、陳氏は、高許月妹さんは病気がちで小学校に満足に行けなかったから、それほど日本語は上手ではないことや普段の生活ではパイワン語を話していることなどを証言した。陳氏自身が、NHKの取材を受けたことで、60数年ぶりに日本語を使ったことも証言した。
驚いたことに、この陳氏の証言では、NHKは陳氏に対して告訴を断念するよう「もみ消し工作」を行っていたことも判明した。
時期は覚えていないそうだが、NHKが台湾で雇った台湾人コーディネーターがわざわざ高士村まで訪ねて来て「告訴したらお金がかかるし、東京は遠い」と、暗に告訴を取り下げるよう勧めたことを陳氏は証言した。
陳清福氏は以上のようなことを証言し、NHKの虚偽を裁判で明らかにした。
裁判後、陳氏と華阿財氏は高池弁護士らとともにチャンネル桜の番組に出演、陳氏は「NHKのこういうウソの行為は、国家の名誉を傷つけるもので惨害が大きい。原告として戦っている団体の姿を見て感動した。
こういう精神を見て私も立ち上がった。結果は分からないが上等の結果が出ると思う」と述べ、証言が満足のいくものだったことを吐露した。
この出演の模様は3月5日にYouTubeにアップされたので、下記に紹介したい。
◆【証人尋問開始】NHK「JAPANデビュー」一万人集団訴訟の行方[桜H24/3/5]
http://youtu.be/5OkQI472vLw
◆次回(第12回)口頭弁論 被告本人尋問で島田雄介ディレクターが出廷
・日 時:平成24年5月18日(金)午後1時30分~
・場 所:東京地方裁判所 103号法廷
*裁判傍聴希望者は裁判が始まる10分くらい前(午後1時20分)までに法廷に入って下さい。東京地裁では金属探知機を通る以外の検査はなく、身分証明書なども必要ない。
「日台共栄」 第1531号