映画『LOVE MY LIFE』と吉井怜さん | 【喰(SHOKU)レーベル】アルバムリリース情報!

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女性のセクシュアル・マイノリティを扱った映画を2本続けて見たのですが,両方とも何とも冗長で堂々巡りばっかりで消化不良に陥ってしもたため,何か突破口はないものかと思って,ひらめいたのが1年程前に1度だけ見た映画『LOVE MY LIFE』(2006年秋公開,原作者:やまじえびねさん)でした。

以前見たときはあまり感じなかったのですが,おそらくはこれほどまでに普通の極致と言ってもよいくらいにセクシュアル・マイノリティを描いた映画は,常に既になかったのではないかなどと,いたく感じ入ってしまいました。

この映画の素晴らしいところは,女性だけでなく男性の出演者の方がとってもよい感じを醸し出しているところです。まさしくPhallocentrismeとは全くの無縁のところに最初からいてるようなそんな雰囲気を感じます。

吉井怜さんが演じる,いちこさんの同級生のたけちゃん,この方はゲイという設定なのですが,雄々しくないのは当然として,女々しくもない実に自然な雰囲気が何ともよいです。

たけちゃんは,ストレートの男性たちが,ゲイの男性について,心ない会話を交わすのを嘆きますが,そんなたけちゃんを,いちこさんは優しく「彼らの言うことなんか気にする必要はない」と助言しはります。この辺りは,まるで,この映画から3年後に発表された椎名林檎さんの「ありあまる富」の歌詞とのリンク性をふと感じてしまいました。

もうおひとかた,いちこさんの父親役の石田衣良さん,この方の演技は,よい具合に力が抜けており,まさしく絶妙と言ってよいと思います。こんな雰囲気を醸し出せるのは,他には蛭子能収さんしか思いつかないと言っても過言ではありません。

ちなみに,いちこさんの母親は既に亡くなっており,写真に写っている母親役は,小泉今日子さんです。

そして,言うまでもなく,メインテーマのほうの女性ふたり,吉井怜さんといちこさんの相手・城島英理子さん役の今宿麻美さん。このおふたりの関係が生成する強度を何と表現したらよいか。あたかも最高に純度の高い水晶の透明度の如き強度とでも申しましょうか。



ラストシーンのおふたりの縁起は,それこそ,これ以上は決して望めないような究極の強度を生成しております。これぞ,女性どうしの縁起がもたらす究極の美!と言っても過言ではありませぬ。