「#9 Dream」から21年後と「依存症」 | 【喰(SHOKU)レーベル】アルバムリリース情報!

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何度か繰り返し見た夢だったのか,あるいは過去に一度だけ見た夢だったのか,もしくは一度も見たこともない夢だったのか,今となっては定かではない。
しげみちゃんがそのことに思い至ったのは,過去に見たかもしれない,と同時に,見なかったかもしれない夢の記憶が,端緒となっていることだけは確かである。

しげみちゃんが,21年前まで暮らしていたアパートの部屋を21年ぶりに訪れたのは,今年の6月末のことであった。予想通り,その部屋は転居したときの状態のままで,ものは一切なく,生活感は何も感じられなかった。そして,夢の記憶の通り,そこにはしげみちゃんの妻が,その当時の風貌と服装のまま,穏やかに寝息を立てていた。

しげみちゃんの妻は現在も健在であり,現住居に暮らしている。その妻が,何故21年前まで暮らしていたアパートの部屋におるのか。

夢の記憶に従うならば,21年前の転居時に,しげみちゃんの妻は,そこに自分の身体を置き忘れて行ったということになる。これはしげみちゃんの妻が言ったことではなく,あくまでもしげみちゃんの夢の記憶から導かれた推測ということになる。

その部屋におるしげみちゃんの妻は,この21年間,飲食することなく,ただ穏やかに眠り続けている。そんな状態が現実にはあり得ないことは薄々わかってはいても,しげみちゃんはこの状態を,現実として受け入れていた。



しげみちゃんの脳内には,「天鵞絨の海」や「雲切れの笑顔」と言った,椎名林檎さんの「依存症」(2000)の一節が,常に既に鳴り響いていたと言う。



[参照曲]
John Lennon "#9 Dream"(1974)
Sancantion "ニワトリ #9"(1981)
Sancantion "Song of Hunan #9"(1983)
Sancantion "Zuwaikani-Qunk"(2016)