本来ならば，反復ではない「乱切り茄子」のほうが先に来るべきではありますが，このアルバムにおいては，反復のほうが先に来てしまった，とでも言えましょうか。
楽曲の同一性は，常に既に反復されており，従って，楽曲は常に既に差異づけられていると言えます。エフェクトで言えば，ディレイ＆リバーヴ成分が先に来るバックワードエコーの如きものとでも言えましょうか。
「乱切り茄子」とは，あらゆる器官がひとつの目的のために収束せずに，そこらじゅうに分散されているいう状態を表象している思われます。乱切りにされて分散状態となった茄子どうしは多種多様な関係性を持ってはいるものの，それらは決してひとつの「茄子」という物体に収斂しないということかもしれません。とはいえ，乱切りにされようがされまいが，もともと常に既に分散状態にあったことには変わりはございません。
本編の「乱切り茄子」ではピアノに割り当てられていたパートを，「乱切り茄子 (反復）」では，ナイロンギターに割り当てています。このナイロンギターの音色がなかなかよいのですが，とりわけヴェロシティ値を127にすると，チョーキングが自動的にされるトコなど，出色の出来と言えましょうか。
乱切りにされてそこらじゅうに散らばった茄子の如く，ノートが乱れ撃ちされるような楽曲を目指した結果として，"Chopping Up Eggplant (Reprise)"は生成されることになったと言えます。
この曲のタイトル「乱切り茄子」は，大島弓子さんの作品「乱切りにんじん」にあやかっって名付けられました。物語の冒頭で，いきなり，「学校から帰ると母が死んでいた」と来る，あの素晴らしい作品です。小萩さんの父親が宇宙人だったこと，また，御行くんが登場する作品でございます。
"Chopping Up Eggplant (Reprise)"「乱切り茄子 (反復）」
https://itunes.apple.com/jp/album/chopping-up-eggplant-reprise/id890830205?i=890830249&ign-mpt=uo%3D4
http://www.amazon.co.jp/Chopping-Up-Eggplant-Reprise/dp/B00L4XMT1A/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1416001889&sr=8-1&keywords=Chopping+Up+Eggplant