各曲解説トラック03 Steam First Espressonist | Sancantion【喰(SHOKU)レーベル】アルバムリリース情報!
"Steam First Espressonist"「最初の水蒸気エスプレッソ野郎」は,Sancantionのサードアルバム"51 years later from Apollo 17"の3曲目に当たります。

この曲のタイトルは,Andy Partridgeのアルバム"Take Away"の4曲目"Steam Fist Futurist"にあやかって付けられました。実は,わたくし,"Take Away"収録のこの曲名を,つい最近まで,ほぼ33年間に渡って,"Steam First Futurist"だと思い込んでおりました。今回,自作曲にタイトルを付ける際に,"r"がない"Fist"であることに初めて気がついて,かなりびっくりしてしまいました。

とはいえ,名称は似てはいますが,曲調に似ているところはありません。というのも,この曲のタイトル"Steam First Espressonist"は,Native Instrumentsのヴァーチャルシンセ音源のひとつであるReaktorの"SteamPipe"というアンサンブルに由来しているからであります。

"SteamPipe"というアンサンブルで作成されたInstrumentsは,その名の通り,フルートのような吹奏楽器における,息を吹き込んで音を発生させる,というところをかなり極端に強調した音色が特長的と言えます。つまり,基音に対して,かなりえげつない不協和音的な倍音のフィードバック音が強烈に含まれているところに,その特長があるわけであります。

"Steam First Espressonist"は,この"SteamPipe"のいくつかのInstrumentsを,即興で数十小節適当に弾いたものが元になって生成された曲であり,言ってみれば,この音色の特異さから生まれた曲と言っても過言ではございません。



同時に"SteamPipe"Instrumentsの際立った特長は,モジュレーション・ホイールの操作によって,音色に劇的な変化をもたらすことができるところにあります。モジュレーション・ホイールは,通常はヴィブラートのようなピッチ・モジュレーションやトレモロのようなアンプリチュードモジュレーションの効果に割り当てられることが多いですが,このInstrumentsにおいては,フィルターの閉じ・開きに割り当てられているため,ホイールの操作で音色の明暗を瞬時に劇的に変化させることができるようになっているところに,際立った特長があると言えます。

もともとはほんの数十小節程度の即興演奏に過ぎませんでしたが,その廻りに様々に肉付けすることによって,「最初の水蒸気エスプレッソ野郎」は創出されることに至ったと言えます。



"Steam First Espressonist"

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