トイレ掃除を始めてからかれこれ10年になります。
知人に進められて、ものすごい方に会ったことがきっかけとなって。
そのものすごい人とはイエローハット取締役相談役 鍵山秀三郎先生。
初めてお会いしたときは、目の前に菩薩様がいらっしゃるような感すら
覚えました。
鍵山先生はイエローハット社長時代、朝早く会社のトイレ掃除を一人で
始められました。
「会社の活動を通じ、社会を良くし,人を幸せにする」というご本人の
理想を実現させるために「掃除」を思いついたのだそうです。
当初、社長の想いとは裏腹に社員の目は冷ややかでした。
誰も手伝おうとせず、掃除している社長の隣で用を足す社員もいたほどでした。
毎日の日課として一人でコツコツと続けていましたが、10年目を迎えた
ころから社員が自主的に手伝い始めました。
それまで社長の権限を振りかざして一度たりとも掃除を強制したことは
なかったそうです。
時が経つにつれて全社員で仕事前に掃除をするようになり、いつのまにか
社内全体が常に整理整頓されているようになりました。
と同時に売り上げも伸び続けたのです。
掃除の輪は広がりました。社内ばかりではなく、会社の周辺。
地域、そして日本全国へ。
93年には同志により岐阜県に「掃除に学ぶ会」が発足され「学ぶ会」は
都道府県単位に増え続けました。
「トイレ掃除は臨時収入を生む」とか「素手で掃除をすると収入が10倍に
なる」というご利益説まで出現しました(ちなみ私の年収はこのところ順調に
増えています)。
ついに「掃除に学ぶ会」は、海外にひろがりました。
中国、モンゴル、台湾、ブラジル、米国・・・。
数年前サンパウロで開かれた「第1回世界大会」ではなんと5000人も
集まったそうです。
1997年以来、北京で開催されている「中国掃除に学ぶ会」に参加した
ある中国人青年の感想。
「私は昨日まで日本人が嫌いだった。祖父が日本兵に殺されたから。
しかし今日から考えが変わった。」
「トイレ掃除」が国境を越え、喜びを分かち合う共通言語になったのです。
以上、ある新聞の最終面の「文化」欄で鍵山先生のインタビュー記事が
掲載されておりました。
最近ではあの 石川 遼 くんもトイレ掃除を
しているというではありませんか!
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私自身、自分なりにトイレ掃除を続けてきて10年目になりました。
いま思うことは「トイレ掃除をする」ときの心構えがずいぶんと変化
したなぁ、ということです。
鍵山先生に出会い、自分もやってみようと思ってから3年間「トイレ掃除」を
しませんでした。
その後一念発起して始めましたが、やったりやらなかったりで、毎日続かず
中途半端でした。
汚い便器を素手で掃除するなんて汚くてイヤでイヤやで仕方ありませんでした。
掃除したそばから、平気でトイレを汚す人に恨みすら感じたこともありました。
「バカヤロー、キ レ イ ニ ツ カ エ ヨ」。
自ら決めて始めたことなのに、なんだかやらされているような気がしていました。
何年かのらりくらりと続けていたある日、なかなか消えなかった便器の汚れが
やっと消えて、なんとなく気分がよくなりました。
以来、「やらされている」感覚が少しずつ消え、同時に楽しくなっていきました。
さらに続けると、当初感じていた「面倒くさい」とか、続けるようになって
から感じていた「楽しい」という感情も沸いてこなくなり、いつのまにか
「トイレ掃除」は私の生活の一部になりました。
家以外でも、自分が利用する公共のトイレは時間がある限りきれいにしています。
呼吸するのと同じくらい無意識にトイレ掃除をしています。
むしろ無意識だから続けられるようになったのかもしれません。
何にも考えないで、終わった後気持ちが落ち着く。
なんとなく瞑想のようなものかと最近感じています。
やり始めたころ、こんな恩恵を受けるとは思いもしませんでした。
鍵山先生のような理想を掲げるほど大ごとではありませんが、
これからも静かに淡々とトイレ掃除を続けます。