プチ鹿島著
『教養としてのプロレス』


芸人プチ鹿島さん、昔コンビ組まれていた時は何度かご一緒したことがありその頃は暴れる相方についている調教師というイメージしかなかった。

しかし最近はネットニュース等で鹿島さんのコラムをちょくちょく目にし、漫才でニュースを使ったネタをやっていたので鹿島さんコラムをみて勉強させてもらったり、そういう考え方もあるんだとか思っていた。

そんななか単行本が出ているのを知る。

しかしタイトルにプロレス。

プロレスにあまり興味がない俺はちょっとためらったが、鹿島さんの発言に大変興味あるので買わせていただいた。


内容は

芸人なら誰もがテレビにかぶりついて色んな意味で震えた

笑っていいともグランドフィナーレで

そうそうたるメンバーが集合したときタモリさんが言った

「これ、、プロレス」

という言葉を取り上げた事から始まる。

そしてプロレスという意味の説明。


感動や驚きどこまで段取りがあったの?と半信半疑や各々の解釈すべてそれらがプロレスである。


俺はプロレスが好きではなくプロレスの事を考えた事がなかったが
この言葉でプロレスという言葉の意味をなんとなく理解した。


そのなかで吉田豪さんとの会話でのわかりやすいプロレスの定義がかかれている。


「八百長という意味でつかうのではなくガチな感情をどうビジネスに使えるかって事ですよね」

これで
プロレスという言葉に俄然興味がわいた。


お笑いをやる上でこのプロレス脳というのは必要不可欠じゃないか。


そう認識してから
この本がドンドン頭に入ってきた。


そして鹿島さんは様々なことをプロレスに例えて説明してくれる。


学生運動とはUWFである
桜庭和志とはイチローである
あまちゃんとは越中詩郎の物語である
木嶋佳苗とはヒクソングレイシーである


このタイトルだけ見るとプロレス好きには面白いんだろうなと思うが違う。


好きじゃなくても、わかりやすくプロレス用語を紹介してくれていてその二つの共通点に納得させられ、それでいて自分の人生に役立つプロレス脳まで提供してくれるのでめちゃくちゃ面白い。


箇条書きだが心うたれた文を紹介させてもらう

「おかしさ」を「可笑しさ」に変換すればいちいち腹も立たない。

「スラックス理論」無駄があってよい。行間があってよい。半信半疑を楽しめ。

善も悪も混沌とした多角的な世界を前提とするプロレス。そこで得た見方を一般にも応用すればよいのだ。様々な見方や角度をチェックしておく。

から揚げを食べるか食べないかの人生なら、私は食べる人生を選ぶ。

等々。


そして最後の方まで進むと
他の物をプロレスに例えて紹介じゃなく

ただただプロレスのエピソードを紹介している文が続く。


途中でそう気づいたが完全にプロレスの頭になっているので
プロレスのエピソードを興味津々で読んでいる俺がいた。



そしてこの本をよみおわった時に思った感想。


「プロレスって面白いなー」


プロレスを今すぐ見に行きたいDVDをみたい衝動にかられた。


あれ、
おかしい。


「この本は実はプロレス本ではない。世の中の森羅万象を語ろうとしたら、わかろうとしたら、たまたまプロレスで学んだことが役に立つことに気づいたのです」

「プロレス知らない人にこそこの本を読んでもらいたい」

と鹿島さんは前書きでいっていた。


俺もそう感じて途中まではプロレスに例えた教養の本だと思っていた。


しかし、最後まで読むと違う事がわかった。

これは

プロレス愛が止まらない鹿島さんが教養という一般人にはいりやすい言葉を使って最終的にプロレスに興味ない人にも、プロレス脳に洗脳してプロレスを好きになって貰う、プロレス布教活動として書いた本
なのじゃないか。


だまされたーーー!!
まんまとはまってしまった!!




ただ、鹿島さんがこの本をどういう気持ちで書いたか本当のところはわからない。





まぁ、
そういった視点で考えるようになったのも
この本をよんで間違いなく俺がプロレス脳になったからである。