中国ドラマ『大宋宮詞』では、11世紀の中国・北宋時代に、平民から皇后にまで

上り詰めた実在の人物劉娥(りゅう・が)の波乱の生涯を描いています。

 

劉娥は、北宋第3代皇帝真宗の2番目の皇后になった人物で、初めは、真宗がまだ

襄王だった頃に知り合い寵愛されますが、平民ということもあり、2代皇帝太宗に

追い出されます。しかし襄王が即位して真宗となると、やっと劉娥は後宮に迎え

られ、寵妃としてその後とんとん拍子に出世します

 

劉娥は、頭脳明晰で読み書きができ、おまけに政治に長けていたため、真宗は、

側室が生んだ子(第4代仁宗)を劉娥の子として育てさせ、真宗亡き後、仁宗が

成長するまで、真宗から国を任されるというドラマチックな人生を歩みました。
 

その主題歌になっているのが、『越人歌』と言われる古い漢詩に、曲を付けて

歌いあげたものです。

 

この越人歌は、春秋時代に船で偶然に出会った王子に恋した(多分女性の)船頭が

その恋心を歌ったもので、Youtubeを見ると、この漢詩に曲を付けたいくつかの

バージョンがあるのですが、私はこの主題歌版の方が好きです。とても美しい曲

(1分38秒)なので、ご興味のある方は、一度聞いてみて下さい。

 

《大宋宮詞》MV:片頭曲《越人歌》|愛奇藝 (youtube.com)

 

 

漢詩と日本語訳(ドラマ54話中の字幕)は、次の通り。

 

今夕何夕兮,搴舟中流。  今宵はなんと美しき夕べか 舟は悠々と大河を下らん
今日何日兮,得與王子同舟。今日はなんと得がたき幸運か 王子と舟を共にするとは
蒙羞被好兮,不訾詬恥。  分け隔てなき王子の優しさに ただ戸惑うばかり
心幾煩而不絶兮,得知王子。

  胸の鼓動が高まってゆく 王子と出会ってしまったから
山有木兮木有枝,心悅君兮君不知。

  山野に木が生え、木に枝が茂るように恋心が芽生えども、君これを知らず

 

この美しい調べと歌詞が、真宗と劉娥の人生にぴったりで、深い愛情で結ばれて

いたんだろうなとしみじみ思ってしまいます。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。