上橋菜穂子さんの『精霊の守り人』がアニメ化されてNHKで放送されていた時、

美しい映像と世界観・登場人物たちの魅力にすっかり魅了されて、原作を買って

読みました。(DVDも購入)

 

主人公はバルサという女用心棒で、水の精霊に取りつかれたヨゴ王国の第2王子

チャグムを、父王の放った最強の刺客達から命を守り、バルサとチャグムとの間に

親子の情も生まれ、水の精霊が引き起こす大旱魃の問題も解決し、最後は、

チャグムは皇子の身分に戻って命の恩人バルサとの別れが待っている、という

ストーリーです。

 

女用心棒バルサは、隣のカンバル王国の王様の主治医の娘だったのですが、父が

王の毒殺という陰謀に巻き込まれて、口封じで殺されることが避けられなく

なった時に、父の親友ジグロ(王の槍:王の親衛隊のトップ)にバルサの命を

助けて逃げてくれと頼みます。

 

ジグロは悩みますが、王の槍の地位を捨ててバルサを刺客から守り、隣のヨゴ

王国に逃げ、そこで男で一つで親友の娘バルサを用心棒稼業をしながら育てる

のです。バルサは身近でジグロの短槍遣いを学び、やがて最強の女戦士になり

ますが、やがてジグロは病で亡くなり、バルサは用心棒稼業で身を立てます。

 

ジグロの悲しみは、カンバルの新王(前王毒殺の黒幕)が、ジグロの親友達で

あった王の槍のメンバーを次々とジグロを殺すために送り込み、ジグロは生き

延びるために親友全員を殺してしまったことでした。

 

それを見ていたバルサは、ジグロが自分を守るために殺さざるを得なかった

親友の数だけ、人の命を救うという誓いを立て、チャグムはその最後の1人

だったのです。奇しくも、ジグロは血のつながらないバルサの命を守り、

バルサは血のつながらないチャグムの命を守ります。

 

これだけでもウルウルきそうになりますが、上橋菜穂子さんの「守り人」

シリーズがすごいのが、『闇の守り人』で、祖国カンバルに帰ったバルサを

ジグロは待っていたのでした。

 

カンバルには、秘密の洞窟があり、最強の戦士であるジグロの霊は、そこを

死後も守っていて、カンバル最強の戦士バルサが来るのを待っていたのでした。

その洞窟の儀式で、懐かしいジグロとバルサは短槍を交え、命のやり取りを

するほどの死闘を繰り広げるのでした。

 

私が書くと感動がちっとも伝わらないのですが、上橋さんのそこの描写が

すごすぎて号泣しながら読んだのでした。その後、もちろん上橋さんの

守り人シリーズを全部読みましたが、壮大な世界観で、児童文学を遥かに

超えている作品でした。

 

フィクションなのですが、バルサとジグロというキャラクターに惚れ込み

ました。感動をありがとうバルサ、ジグロ。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。