当院で以前、生活習慣病で定期的に通院治療していた患者さんで、コロナ禍をきっかけに通院拒否してしまった人がいます。
数年後の今、脳梗塞を起こして入院されたと聞きました。
高血圧、脂質異常症の放置はやはりそういうことになるリスクが高まるということです。
また別の患者さんでは、通院がまちまちで、定期的にきっちりと服薬していなかったのですが、それでもなんとか通院しているうちは元気でした。通院するのにやや距離があるからということで、以後は最も近くの医院に通院する、ということで当院への通院が終了となったのですが、その後しばらくして、どうやら心不全となったと伝え聞きました。おそらくは、あまりちゃんと通院治療していなかったのではないかと思います。
このように、高血圧や脂質異常症というのは、日々の積み重ね治療が合併症を予防し健康寿命を延ばすことにつながります。
また、そもそもが、自分がそういう生活習慣病だということが、健診などでチェックしないことには分かりません。自覚症状がないのが普通ですから。でも自覚症状がでたころには危険な状態もしくは不可逆性の臓器不全(脳や心臓や腎臓)の合併症となりうるのです。
世の中に英雄的な偉人は過去にたくさんいました。それは現代でもそうです。そういった現代においてもなお、健康を過信して早逝してしまった人が少なからずおられます。
若いから、とか、自覚症状がないから、といって、健診すら受けずに、もしくは健診で異常を指摘されているのに放置することは、危険回避の想像力が不足しているのです。
太く短く生きるのを信条として死ぬのも自由ですが、あとになってから、やはり後悔するのが人間というものです。そして予測や想像をできるというのもまた人間だということです。
偉人でも長生きしている人はいます。そういう人はどういう人かというと、そういう危険回避の想像力がしっかりとあり、実効性のある対処をしている人なのだろうと思います。