俺はトップをねらえ!が大好きだぞ!!
 
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という出だしではじめたわけだけど、単純にトップをねらえ!作中のウラシマ効果に対して感じた疑問と、その解釈を相対性理論に詳しい物理博士の友人たちの補足でまとめていたのを最近思い出したので、日記的に書く
 
 
 

・トップのウラシマ効果はよく考えるとおかしいのではないか?
 

この疑問は割とメジャーなんだと思ってたんだけど、検索してみると全然出てこない……俺がおかしいのだろうか?いや、そんなはずはない…はずだ
 
 
トップ第5話で、雷王星(冥王星のさらに外縁にあるという架空の惑星)軌道に宇宙怪獣が出現したー、という話になって、ノリコとカズミがエクセリヲンを引き連れて迎撃に行く
 
 
のだが……結局雷王星到達時点で地球時間で4ヶ月以上経過している(その間に愛するコーチが宇宙放射線病で死ぬかもしれない、というのが本筋なのだが)
 
 
しかし考えてみるとおかしな話で、これを地球から眺めると「太陽系外縁に出現した宇宙怪獣が雷王星に到達するのに4ヶ月かかった」「亜光速移動するバスターマシンが太陽系外縁までいくのに4ヶ月かかった」という意味になってしまう(ちなみに冥王星までで光速で5時間半)
 
 

これはおかしくないか?
 
 

これでは宇宙怪獣はすげーノロノロ動いてることになるじゃん。地球到達まで一体何百年かかるんだよ……
 
 
 
こう考えると、5話の冒頭で数ヶ月の旅を終えて地球に戻ったら10年経ってました、ってのもなんかおかしいのではないか?という疑問も生まれる
 
 
 
エクセリヲンの中でコーチが必死こいて実用にこぎつけたガンバスターだが、地球で10年経過してるなら10年の間に地球でじっくりガンバスターを完成させて送りつければいいことになる
 
 
 
そして6話で、カズミがバスターマシン3号に乗って10年越しにノリコに合流する(エルトリウム内では数ヶ月)
 
 
これもよく考えると「地球は銀河中心殴り込み艦隊に、10年後の兵器を後出しで提供できる」ということになるではないか
 
 
カズミ合流後も、超スピードで移動している銀河中心殴り込み艦隊に対して、さらに何年もかけて作った新兵器を送りつけられる計算になる。それこそ成人したタカミちゃんが新バスターマシンに乗って後から追いつけることになってしまう
 
 
 
 

・ウラシマ効果自体は存在する
 

これは実験でも証明されている。新幹線に乗って東京-大阪間を移動するだけでもごくわずかな時間のズレは発生する。だからウラシマ効果自体が間違ってるわけじゃない
 
 
 
ではなにがおかしいか?それはウラシマ効果の解釈だろう
 
 
 
どこがおかしいのか?それは
 
 
 
時間が加減速する対象
 
 

である

トップはノリコを基準に地球時間が加速している
 
 

これ自体は相対的には正しい。亜光速移動するノリコからみて、地球時間はものすごく早く推移する、それは間違いない
 
 
 
しかし本来発生するのは逆だ。ノリコからみて地球時間が加速するというより地球からみてノリコの時間が鈍化するのである
 
 
 
たとえば5話の劇中速度を単純化して
 
 
・1ノリコ時間 = 1地球ヶ月 
 
 
だとする。ノリコ時間を秒に直すと3600ノリコ秒=30 × 24 ×3600 地球秒と考えられるから、1ノリコ秒 = 720 地球秒、地球時間はノリコの720倍のスピードだと考えられる
 
 
ノリコが移動中に体感4時間を消費したら、地球は4ヶ月が経過している。これは間違いないのだが、問題は雷王星に行く際に、加速しているノリコの時間が鈍化していないことになってるのが解釈としておかしいのである
 
 
バスターマシンにのって亜光速で移動するとき、その移動距離は地球からみて速度×4ヶ月の距離を移動しているのでありノリコがそれをたった4時間として体感するというのが正しいわけだ
 
 
 
光速ロケットで1光年直線運動したら、中の人の体感時間はほぼ0になる。つまり中の人からすると地球をスタートしたと思った瞬間1光年先に到達しているという形になる。表現としては、中の人の時間が鈍化するのであり、基準は地球時間で計算できるわけだ
 
 
トップをねらえの矛盾点はノリコが地球時間を体感し(つまり時間が鈍化していない)それに合わせて地球のほうがすさまじい時間加速を受けていることになっている
 
 
ということなのだ
 
 
 

・ではどうあるべきか?
 
 

冥王星より遠いのに亜光速で4時間で着くってのはおかしいので、仮に亜光速で8時間かかるとしよう
 
 
この場合、地球時間でノリコ到着は発進から8時間後である。8ヶ月後ではない
 
 
で、雷王星到達時にノリコからみると8時間 / 720、つまりたった40秒しか経過していないということになるわけだ
 
 
 
5話冒頭で、数週間の旅で帰還した際に10年経っている、のではなく数週間の旅で、エクセリヲンの連中は数時間しか体感していないになる
 
 
6話の銀河中心殴り込み艦隊は、地球からみて到達に10年かかるならそこは矛盾しないが、10年間地球で新兵器を作ってから出発すればいいので銀河中心殴り込み艦隊が先発する意味が全くないということになる
 
 
 
6話で地球帰還時に12000年経っているのは解釈の余地はいくらでもある。単に12000光年はなれてれば、光速移動し続ければ本人たちは12000年後にほんの一瞬の出来事として体感しながら帰還できるし、ワープ時に別空間に飲まれて地球時間12000年後に脱出できた、でもかまわない
 
 
ただ、バスターマシン3号の起動時、ノリコが「ごめんキミコ、もう会えない!」と言ったあの2.3秒は矛盾している。ブラックホールの間近(シュワルツシルト半径ギリギリ)でガンバスターが離脱するあの数秒はエルトリウムからみた数秒であり、超重力による時間の鈍化を食らっているノリコたちからすれば限りなく短いコンマ000000秒の出来事ということになるわけだ
 
 
 
 
しかし、これらを考えると夢もへったくれもない話でもある。光速に近づけば近づくほど体感時間が遅くなるなら、地球時間からみて1秒の攻防がパイロットからみるとコンマ00秒の出来事ということになって、亜光速戦闘など不可能ということになってしまうからだ
 
 
ノリコが4話で宇宙怪獣を受け止めるあの1秒のせめぎ合いをしているとき、それを地球から観測すると12分かけて宇宙怪獣を受け止めているようなものだ、ということになり滑稽極まりない。そうではなく、地球観測で1秒の出来事がノリコにとって1 / 720秒の出来事なのだ。光速に近づけば近づくほど分母が大きくなり、人間の反応速度を超えていく。まぁ宇宙怪獣も同じく反応できないわけだが、努力と根性があればそれくらいはできるのだろう
 
 
 
無粋だとか言われそうなもんだが、別にトップをねらえ!という作品を貶める気は1mmもなくて、ウラシマ効果とはなんぞや?ということをちゃんと理解したかっただけ。この矛盾で作品の評価が下がるってもんでもないはずだ、だってトップはまごうことなき名作なのだから