『本当はね、もう一人兄弟がいたの。』
母が大粒の涙を流しながら告げられた言葉に私の脳内に疑問と衝撃が走ったのは高校2年生の時の話。
自分の父親は幼少期から母親によく暴力をふるっていた。時には骨折もし、一時期父と会うことはできず、母親の実家に住むこともあった。
「俺の金で食わせてやってんだから」と大きな声で母親を殴る姿は物心ついたころからよくみていた。かと思えば母親に突然愛情表現をしたり甘えたりして、大人ってよく良く分からないなと子供ながらに思っていた。それは列記としたDVであることが分かったのはずいぶん後の話。
私が幼少期、父親が母親の腹部を蹴っているところを見た。怖くて泣いた。きっとその時、母親のおなかには赤ちゃんがいて、流産したのだと思う。
この話を聞いた私は女性は弱い立場であり、そんな女性を守る仕事に就きたいと思うようになった。
また、私の兄は出生時心室中隔欠損症という心臓に穴が空いた病気で生まれてきたことも知った。「心臓に穴が空いた病気..」それを知った母親はとても自分を責めたらしい。
そこで兄を取り上げた助産師が入院中母親の気持ちに寄り添ってとても救われたと言っていた。今も尚、その助産師と連絡を取っているらしい。助産師という仕事って素敵だと思った。
とってつけに当時流行っていた「仁」というドラマを見た。8話あたりかな。麻酔なしで帝王切開をするシーンがあり、ドラマではあったけど、今当たり前にある命はご先祖様たちが命がけでつないできてくれた命であることに感動し、助産師になりたいという気持ちが一層強くなった。
むしろ、これらの経験から助産師になることしか考えられなくなった。