2016年11月12日(土) MUSICエンジンさん主宰の演奏会「エストポリス伝記2」に参加してきました。撮影素材があまり無いので文字が多くなっており申し訳ありません。間違いなどがあったらご指摘頂けると幸いです。
「エストポリス伝記2」オンリーの演奏会という非常に数少ないかつ貴重な機会ということで、必ずや参加すると意気込んで予定が入らないように細心の注意を払いつつ当日を迎えました。
場所など。初めて行きました。「三鷹市芸術文化センター 風のホール」
作曲者の塩生康範さんの花がありました。
■「エストポリス伝記2」とは
1995年2月24日にタイトーから発売。開発はネバーランドカンパニー。(海外製品名:Lufia2)
・ディレクター、シナリオ:宮田正英さん
・サウンド:塩生康範さん
初代エストポリス伝記で語られていた“虚空島戦役”で活躍する主人公の”マキシム”と仲間たちの冒険になります。初代から約100年前の世界になります。
特徴として挙げられるのは、初代エストポリスのオープニングではいきなりボス戦から始まりますが、そのボス戦というのがエストポリス伝記2のラストバトルであるという壮大なネタバレをかますという演出でした。(もちろん当時初代をプレイした人はその事とは知らない)
エストポリス伝記2のクリア後は初代エストポリス伝記開始直後のワンシーンのセリフとともに終わるという演出も導入され、物語が繋がっていることを知らしめました。
もう一つは、かなり切ないストーリーとなっている点にあります。超簡単に要約すると、
・主人公であるマキシムと幼馴染のティア、マキシムはティアの気持ちを全然察してくれない
・マキシムが強大な敵と戦うために旅立つ
・ティアはマキシムが心配でしょうがないので無理やり付いていく
・マキシムにセレナが仲間として加わる
・セレナのほうがマキシムを信頼していると言うことにティアは気づく
・マキシムとセレナが結婚
・ティアはマキシムを愛しすぎているが故に諦めて離脱、マキシムの元を去る
・セレナが出産しラルフと名づけられる
・最終決戦後のイベントにおいてセレナは力尽きて死亡
・その後世界を救うためにとマキシムも力尽きて死亡
・世界に平和がもたらされ、仲間たちがマキシムとセレナの帰りを待つ
・マキシムとセレナの魂が光の玉となって世界を彷徨う
・ラルフは光をママと認識する
・ティアはなぜかわからないけど自然と涙が頬を伝う。今まで泣いたことなんか無かったのに。
ラブコメ要素やお笑いなどの要素も盛り込まれていますが、根本ではとにかく涙なしでは語れないストーリーとなっています。世界は救われたので大枠では良かったと言えるのですが、当時としては珍しい切ない終わり方となっています。そこでは物語をよりいっそう盛り上げてくれたBGMの存在が大きかったのは間違いありませんでした。
それと
・第3回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100の第1位がエストポリス伝記2「Battle#2」であった
・過去2回ほどパクられ対象(疑惑)になっている。
→Battle#2 (某ビジュアル系バンド)
→地上を救う者 (某有名ロボットゲーム):正式に謝罪あり
これらの事などから、少なくともBGMには一定以上の評価があったと考えられます。ゲーム自体は当時のFF/DQ旋風に巻き込まれマイナーな存在となってしまったのが残念でなりません。(自分もプレイしたのはかなり後から)
■演奏会の感想
感想を書いておきます。あまりうまい事言えませんが…簡単に。
セットリストはこんな感じ。前半はM1~M8、15分の休憩を挟んで後半のM9~M16という編成です。
楽器の編成
・バイオリン
・ヴィオラ
・チェロ
・コントラバス
・フルート
・オーボエ
・トランペット
・ピアノ
・ティンパニ
・パーカッション
・ドラムス
・ギター
※指揮者は居ません。
この楽曲編成はゲームのストーリー進行とシンクロしていまして、ゲームプレイ済みの人はもう「わかってる」という感想を持った人も多いでしょうね。しかも感情の起伏を上手く上下させていました。
正直1曲目からもうウルウル来てたんですが、前半のクライマックスはティアが去りマキシムとセレナが結ばれるという場面です。ティアのその時のセリフや心情を思うとかわいそうでかわいそうで…ただしぼくは強い女が好きなのでどっちかというとセレナ派でありましたが。
演奏が始まるとゲームのその曲が流れている場面が思い浮かんでくるんですよね。
それからラストの編曲が神がかっていました。リストには「地上を救う者」と書かれているのですが、Battle#2を織り込んでくるズルい編曲の仕方でこれはもう満場一致で涙腺崩壊かなあと思いました。正直タオル持参してて良かった…傍から見たら見苦しかったと思いますけど。
アンコールはサントラアレンジ版のBattle#3でした。大サービスでしたね。
それと演奏者の皆さんがとにかく楽しそうだったなあと感じました。座っているのにも関わらずさも全身を使っているかのようにダイナミックに演奏していました。アンケートにも書きましたが、中でも赤髪のバイオリン奏者さんが特にバトル曲演奏時は笑顔でノリノリだったように見えたのが印象的でした。
主宰者が今回エストポリス伝記が好きだからという理由で選んだらしく、ゲーム好きの人が集まればその想いは当然のように演奏にも映えるだろうなあと思います。
■プレトークセッション
演奏会開始前にプレトークと称して塩生さんのトークが開催されたのですが、会場に来ていたシナリオの宮田さんと、同じネバーランドカンパニーでSFC「エナジーブレイカー」のサウンドを担当していた中島さんが急遽参加し3人でのトークセッションとなりました。
トークの内容を抜粋するとこんな感じ。
・エストポリス伝記にはプロトタイプ版が存在しそれをタイトーに持ち込んで売り込んだ。
・持ち込みは開発機だったPC-98&モニター一式をそのまま持っていった。
・プロトタイプ版の曲は塩生さんではない。
・SFCでの開発は苦労したがエスト1がそこそこ好評だったのでエスト2が開発できた。
・当時は人数も少なかったのでプログラマもプランナーのような仕事をしていた。
・最初のメロディ作るのにすごく時間がかかった。
・名前入力時のBGM、エスト1のOP曲がエスト2の名前入力曲だったので、2のOP曲を3の名前入力にしたかったが出来なかったので外伝に→よみ伝は外伝じゃないぞ!?
・エナジーブレイカーの話、開発は難航。発売スケジュールが遅れに遅れた。かなりダウンサイジングしやっと発売したらSFCも末期だった。売り上げはぱっとしなかった。
・サウンド担当は割りと早い時期に暇になる→運転手、買出し、デバッグに借り出される。
・塩生さんが既に戦闘曲を作ってたのでそれを聞きながら宮田さんがシナリオを書いていた。
・宮田さんからの曲の仕様「泣ける曲」、それ仕様じゃなくて曲リストでしょ?
…全部ではないと思うのですがこんなもんだったかな!?
ちなみに、演奏会終了後に塩生さんのサイン会が突如開催され頂いてまいりました。少しお話が出来て感激です。次回作、ルーンチェイサーズは無理でしょうけど、何らかの形で出来るといいねといった内容。
■最後に
来場した参加者の年齢層が意外にも幅広いように感じました。もう20年以上前の作品にも関わらず若い人も居て女性も結構な人数居たような気がします。愛されているなあ…
演奏スタイルやポリシーなど様々あるとは思いますが、とにかくゲーム音楽を演奏するときはこういう風にするといいよ!と言っても過言ではないお手本のような演奏会だったように思います。ゲームがあってゲーム音楽がある、それがベースにあって演奏会を開催する…要するにゲーム音楽を最大限に楽しむ(聴く、演奏する)ためにはゲームをプレイしていることが推奨されるよね(義務ではない)って改めて思った次第です。良い曲だった!で終わるんじゃなくバックグラウンドに存在するストーリーをも巻き込んでいきたいのです。
ゲーム音楽好きな人たちが演奏しゲーム音楽好きな人たちが聴き想いを共有する…こんなに素晴らしい事なんだなあと思いました。
次回の公演も決定しました!
— MUSIC ENGINE (@musicengine_tw) November 12, 2016
2017年4月1日(土)東京の清瀬けやきホールにて「MUSICエンジン第二回演奏会」を開催いたします。ぜひまた、会場でお会いできれば幸いです。#エストポリス演奏会 pic.twitter.com/gbrGIGkxF9
なんと次回の第2回演奏会は「ルドラの秘宝」を予定しているとの事。またしても神選曲ですね!目の付け所が半端ないですね!!是非行きたいですね!!!
それではまた素晴らしき演奏会でお会いしましょう!