1980年代の途中から世界の中央銀行は超低金利政策を長い間続けてきました。

 コロナショック後、世界の中央銀行は量的金融緩和や更なる低金利政策により、大量のお金を世界中にばらまき、前代未聞の過剰流動性、つまり、”官製資産インフレ”を作り上げました。グローバル投機マネーは実質経済よりも不動産商品先物市場などに向かいました。

 今、そのつけを解消するために、米国のFRBを中心に引き締め政策に転じています。

 市場は、景気後退(リセッション)を招かずにインフレを抑えるという”ソフトランディング”を織り込んでいますが、官製バブルは膨れ上がり、中央銀行はなかなか根強い資産インフレを抑えるのは難しいのでは?。中央銀行の責任は大きいです。

 私は、残念ながら”ハードランディング”、”景気後退”を予想しています。つまり、(資産)インフレを伴ったリセッション、つまり、”スタグフレーション”です。インフレのため、中央銀行も利下げができないということです。

 

 私は「歴史から学ぶ」ということを座右の銘にしています。

 いくつか事例を挙げますと、

 1980年代当時のFRB議長のボルカー氏が高インフレの抑え込みに苦労して、腹をくくり、最終的にはかなりの利上げで何とか抑え込みましたが、景気をかなり冷やし、失業率も上がりました。しかし、その後、米国の景気は長期的に回復しました。

 逆イールド(長短金利の逆転)から1年半以降に景気後退が来るというアノマリー。もう2年くらい経っています。

 どの時代でも、「今回は(状況が)違う」という言葉が常套句となっているようです。

 何がキッカケになるかは誰にもわかりません。バブル自体は意見が分かれており、かなり後になってわかります。

 日本のバブル崩壊は土地税制改革と総量規制がきっかけ。リーマンショックは投資銀行大手リーマンブラザーズの破綻。

 

 ハッキリ言いますが、市場を引っ張っているエヌビディア(AI半導体)の株価は決算で予想EPS(1株利益)が上がり、予想PER約30倍。ハイテク株としてはそこまで高くない。もちろん、理解できますが、EPSの予想というところがミソ

 生成AI市場は将来的には成長性が高いが、まだ、初期段階。新しい時代へのビジョンやストーリー、高揚感。過剰流動性。どうも、2000年のドットコムバブルに似通っているらしい。

 世界では、経済第2位の中国の不動産バブルが崩壊し経済失速。米国、インド経済はいいにしろ、EUは景気が悪く、他の新興国や途上国は債務問題があるなど、世界的にはどう見ても厳しい状況。売上げは?誰が買うの?って疑問ですよね

 グローバル投機余剰マネーはGAAFAMやエヌビディア、テスラ等のグローバル企業や商品先物、ほとんど実体のない仮想通貨に入り込み、その価格を大きく押し上げているだけです。個人は物価高により実質賃金が下がり、貧富の格差を広げるばかりで、個人はまったく報われないです。

 

 私はこれから、”超低金利時代”から金利正常化時代”へ変革していくのではないかと思っています。

 

 この事が、世界が本物の経済を取り戻すキッカケになればと思います。

 

 今、世界の先進国にはモノが溢れ、食品ロスなども多い。一方、途上国は飢餓などの問題があると聞きます。世界的にはカネ余りで金や仮想通貨も暴騰⁉️

 ”本物”と言うより、まずは、人がお金に支配されない正常な経済に❣ 個人が尊重される社会へ❣❣❣

 

 格差が少なく、真面目に努力している人が報われる世の中です。

 Well-Beingという言葉が思い浮かびます。

※Well-Beingとは、個人が肉体的、精神的、社会的に満たされた状態という意味です。

 

 例えば、

〇貯金したら、金利がちゃんとつき、普通の生活者が安心できる

〇銀行はしっかり審査し、適切な貸し出しをし、ブラック企業を無くす、ダメな企業の延命はしない

〇生産者は、手間をかけ、高品質で人にやさしい農作物や製品を作り、消費者はちょっとぐらい高くても、高品質で健康的で長持ちする商品を買う

物価と一緒に、すべての人、つまり、中小企業の賃金も上がっていく好循環 

 

  など 挙げたらきりがないと思います。

 

 今、日本の庶民が苦しめられている物価高、値上げラッシュの原因は急激な円安です。

 円安の主原因は、日米の金融政策の違い(米は引締め、日は緩和)が主因で、円が売られドルが売られているためです。

 エネルギーや食糧を輸入に頼っている日本にとっては大変です。

 平成の円高不況からアベノミクスの異次元緩和はデフレを解消し、短期的にはとても効果があったと思っています。しかし、第3の矢(構造改革)が上手くいきませんでした。長期的な視点は×です。また、メリハリというか柔軟性がない。

 円安は輸出企業に恩恵があり、良いという人が多いですが、円高不況時に多くの日本企業は外国へ進出(直接投資)し、今は輸出の割合は昔ほど多くないんです。円安も程度問題です。円の価値は日本の経済力のバロメーターです。

 歴史から学ぶべきです。かつての米国との貿易摩擦。日本の貿易黒字が突出していました。経常黒字は円高要因。逆に円高も程度問題。行き過ぎはいけないし、状況に応じた微調整が必要です。

 円高の時は、多くの人が海外旅行(輸入と同じ)をして、貿易赤字→円安、円安時は、インバウンド(輸出と同じ)貿易黒字→円高、といった具合で為替には本来は自助作用があるのですが、日銀はインフレターゲットと言いながら、量的緩和一辺倒なので、自助作用を帳消しにしてしまっているんです。本当にどうしょうもない。

   っていうか、資産(国債等)を買いすぎて、(市場に対する影響力が強いため)売るに売れない。また、金利が上がると、政府の国債金利の利払いは大変なものになりますから…

 

 余談ですが、EUは隣国と戦争ばかりするために戦争をしないように一つになったという部分が大きいみたいです。域内の人、モノ、金が自由に流れるというのは良い仕組みだと思いますが、ユーロという統一通貨により、為替の自助作用がないんです。南北問題というのがあり、北部の輸出主導のドイツが独り勝ちで、南部のイタリア、スペインなどの観光都市の旨味が帳消しになっています。EUはいずれは、破綻の可能性もあるのかなと思っています。すでに、英国は離脱していますね。

 

最後に

 これから、もし、世界的な景気後退になるかもしれません。そうなれば、痛みは覚悟しなければならない。

 しかし、未来の幸せのためには、非効率的で不合理なところを見直し毒や膿を出すことが必要です。

 日本政府には、規制緩和し自由な市場性の確保も必要ですが、公共の福祉などを考え、時には緩和、時には規制といったようにメリハリのあるポリシーが必要ではないでしょうか⁉

 

 

 「道」2008年 THE 4/9

 

「ナンクルナイサ」2008年 「心は元気ですか」