《本の概要》

 「個人」individual  in+dividual を直訳すれば、

     「不可分」「(もうこれ以上)分けられない」

「本当の自分」についての新しい考え方=”分人”  ?

 

「本当の自分」=「自我」はひとつという観念 

                                                           → 矛盾 →苦しむ

「本当の自分」とは何か❓❓❓

 

 たった一つの「本当の自分」など存在しない。

 

(裏返して言うならば)対人関係ごとに見せる複数の顔が、すべての「本当の自分」である。

 人間には、いくつもの顔がある。相手次第で、自然と様々な自分になる。

 人間は決して唯一無比の「(分割不可能な)個人」ではない。複数の「(分割可能な)分人」である。

 分人はすべて、

                   「本当の自分」である。

 

 一人の人間は、

「分けられない」存在ではなく、

    複数に「分けられる」存在である。

 

 個性とは、分人の構成比率。

    その総体が個性。

 

 

分人は、他者との相互作用で生じる。

 

 私という存在は他者との相互作用の中にしかない。

 

 自分を愛するためには、他者の存在が不可欠

 

 好きな分人がひとつずつ増えていくなら、私たちは、その分、自分に肯定的になれる。

 

 とは、「その人といるときの自分の分人が好き」という状態

 

 愛とは、”相手の存在があなた自身を愛させてくれること”、そして同時に、

”あなたの存在によって、相手が自らを愛せるようになること”

 

 

 感想など

 私は、コロナ渦前に大学の後輩に勧められ、この本を読んだ。いや、読んだと思っていたが、実は全く頭に残っていなかった。

 

 昨年から私は本格的に「星読み」と「」について学びました。

 この本を最近、読み直してみたのですが、

分人主義”という言葉がすんなり頭に入ってきました。      私の人生の大切な1冊になりました😊

 

星読み」では惑星星座の性質を、「」では、顕在意識・潜在意識を思い浮かべました。

 

 太陽星座は自分の「本質的な部分

    月星座は自分の「生来の性質・才能

 水星星座は自分の「知性やコミュニケーション

     を表します。

 同じ惑星星座にも数種の特徴があり、惑星星座は9つ、その他の準惑星もあります。

 

 TPOごとに複数の顔がありますね。その分人はすべて「本当の自分」

 

 私はいろいろな事に興味を持ち、知識の引き出しを増やしてきた。その事により自分の中の分人は増えている。分人が増えることにより、人間として成長してきたとも言える。

 生来の気質や物心つくまでの地域や環境による分人があり、様々な人や読書等での芸術との出会いにより、新しい気質が発見される。そのことにより、自分の中の分人も増えていく。

 自分の中に様々な分人がいるという事は、様々な人から影響を受けているということ。

 個性とは分人の構成比率。その総体が自分の個性

 分人という概念はとてもわかりやすく、使いやすい。

 分人主義の良いところは、変化を肯定的に捉えられる。複数の分人を区別し、リスクヘッジと考えることもできる。

 

 ちなみにアドラーは過去(の思い込み)は変えることができると言ってます。分人主義から考えると、過去の(その人に対する)分人は変えられるということ。

    自分の例をあげると、自分の中での亡父(への憎しみ)の分人を変えることができ、変化を肯定的に捉えることができました。分人主義はアドラー心理学とも共通点がありますね。

 

 誰かといる時の分人が好き、という考え方は、必ず一度、他者を経由している。”自分を愛するためには、他者の存在が不可欠だ”という、その逆説こそが分人主義の自己肯定の重要な点である。

 

 私は昔、職場の女性が「彼を好きな自分が好き」ということを聞いた時、「なんて自己中な考え方」と思ってしまいましたが、この本を読み、恋愛って本質的にはそういう事なのかと、納得しました😊

 また、相互がそれぞれ相手の存在により自分を愛せる。ウィンウィンの関係ですね。それぞれが相手を肯定的に考えられる。

 

 著者の平野啓一郎さんは愛知県生まれですが、1才の時にお父さんを亡くし、2才~18才まで、お母さんの実家がある、私と同郷の北九州市八幡西区で過ごされています。何か、親近感が湧きました。大学の後輩からのすすめにより、この本に行きついたのですが、何か縁があったのでしょうね。大切な本とは見えない何かで繋がっていると思っています😊

 自分と相性のいい本とのご縁は、自分の人生の中での、大切なご縁、財産ですね