話を聞かない男、地図を読めない女 1998

 

この本は 

①「大昔、何十万年もの間、男は危険だらけの外界に狩猟に出かけては食べ物を手に入れ、女は洞穴で子供の世話をしたり、同じ群れの女たちと一緒に過ごして毎日を送っていた。それを続けた結果、両者の身体と脳は全く別物になった」

②「私たちの思考や行動を決めるのは、胎児期に作られる脳の配線とホルモンの働きである」

という考え方に基づくものです。

 

 男女の脳の違いのいくつかの事例を挙げていきます。

 

・女の会話はコミュニケーションであり、男は情報伝達

 女は会話に共感を求め、男は会話に解決を求めます。女の会話というのは友達作りやコミュニケーションであり、それに対して男の会話は情報交換や事実伝達です。

 

・ストレスを感じると女は喋り続け、男は黙る

 落ち込んでいる女を見た男は1人でそっとしておいてあげようと思い、話を聞こうとはしません。逆に考え事をしている男を見た女は心配になってあれこれ話しかけることがあります。

 

・女の脳はマルチトラックであり、男の脳はシングルトラック

 狩猟採集時代において、男が狩りに成功するためには1つの獲物に集中しなければいけなかったため、男の脳はシングルトラックになりました。一方で女は育児をしながら採取した木の実をすりつぶしたりなど同時進行でこなさない仕事がたくさん合ったため、女の脳はマルチトラックになりました。

 男が何かに集中しているときは女の話を共感するどころか単語すらも頭に入ってこない。

 

・女は鋭く、男は鈍い

 女の脳の方が、男の脳と比べて直感力や勘が鋭く、周囲の変化に敏感であり、『小さい変化に気づくのが当たり前』だと思っているのが女です。それに比べて男の脳は視野が狭く、鈍感です。

 

・口喧嘩では女は感情的に訴え、男は論理的に話す

 男は喧嘩をした際に一刻も早く解決したいと考え、お互いの意見や不満をすり合わせてベストな形での解決方法を論理的に考える傾向があるのに対して、女は感情が爆発してしまい、怒ったり泣いたりして嫌な思いや気に入らなかった出来事など、今回の喧嘩には直接関係ないことまで持ち出してきます。

 男の感情は右脳の2ヶ所の領域に集中。女の感情領域は左右両方の脳に広く分布している。

 

・男は競いあい、女は協力し合う

 男の子の集団は階層がきちんとできている。権力と地位が不可欠。

 

 この本を読み、とても驚きがありました。自分のことや女性の思考・行動に対する理解が深まりました。また、ホルモンのこと、SEXのこと、愛のこと、LGBTのこと、などいろいろ勉強になりました。まず、自分と異種のものや多様性のものを正しく理解することがとても大事だと思いました。理解から共感・受容と進めていきたいです。

 

 最後に、私が日本社会にとって、とても大事だと思っていることを書いて締めくくりたいと思います。

 大昔からの歴史の中で、ジェンダーという考え方や性差別が依然としてあります。

 しかし、今は、狩猟時代とは生活様式は著しく変わっています。今の時代に適応し、男女ともに幸せで充実した生活を送るためには、ジェンダーフリーという考え方が必要だと思います。

  ジェンダーフリーとは「従来の固定的な性別による役割分担にとらわれず、男女が平等に、自らの能力を生かして自由に行動・生活できること

 

 私はグローバルな政治や経済に興味があります。私がなぜ「ジェンダーフリー」にこだわるかというと、次のとおりです。

〇日本は世界で初めて深刻な少子高齢・人口減少社会を経験する国です。それを克服するためには、女性の社会進出が必要です。女性の社会進出をスムーズに進めるためには、子育てや家事を夫婦分担して行うこと、子育て支援の制度を充実させることなどがあります。

〇消費社会は女性が中心です。消費者目線での商品開発、繊細な心遣い、マルチトラックな仕事ぶりなど、社会を活性化するためには女性の力が必要です。

〇日本が国際社会の中で、世界平和や反核などの動きで大きな影響力を持つ国になるためには、国民にグローバルスタンダードな価値観を浸透させる必要があると思っています。