ネコの眠りは浅く、ちょっとした物音でも目を覚ます。

野生動物は、安心してぐっすりと眠る事が出来ない。

殺し合いの場では、先に眠った者が殺される。

眠った状態は全く無防備なので、寝込みを襲われると防御のしようがない。


近年、ワンオペという言葉が示すように、効率化がもたらす一人に対する過度な負担増による弊害が、社会問題となっている。

多くの現代人が、経済活動という戦場で、戦闘態勢を長時間保つことを強いられている。

 

個人で財産を管理する社会では、自分や家族の財産を守るためには、一人一人が他者より少しでも睡眠時間を削って戦わなければならない。

少ない睡眠時間で一人で何役もこなし、しかも多くの者に富をもたらす、スーパーマンが、ごくまれにいる。

そういう人間離れしたヒーローに、人は強く憧れを抱き、カッコイイと感じる。

 

しかし、多くの人間には、それが出来ないし、出来たとしても長続きしない。

限界を超えて、やらせようとしたり、やろうとして自分で自分を追い詰め、そのために深い眠りが得られず、いわゆる不眠症と呼ばれる状態におちいる人が多い。

これは、野生動物に近い状態である。

 

ぐっすり眠っていて、全く無防備な、戦闘態勢ではない状態の時に、ヒトは成長ホルモンを分泌する。

安心しきって深く眠らないと、エネルギーを生み、成長する事は出来ないのである。

ヒトは、安心して眠る場所を確保することによって、エネルギーを生み出す能力を高め、筋肉や大脳が飛躍的に発達した。

 

戦争などでは、交代で寝る事で、皆が生き延びる。

 

人類全体で深い睡眠時間を交替で確保することが、生命に果敢に挑んでゆく体力をつけ、成長をうながす。