遺伝子とは、生命がプログラミングする言語である。

どの物質(情報)を選び出(抽出)し、取り込み(入力し)、自己とする(出力する)かを指示している。

自己と非自己を判別するための指示書である。

このとき、エネルギーを生み出し続けるための最適解が判断基準となる。

 

人間の言語も遺伝子の仕組みを踏襲している。

また、容姿、思考、行動は、発火パターンによって表出するので、人間の存在の仕方そのものも言語である。

 

人間の「好き嫌い」は、「自己と非自己」の延長線上にある。

自己に似ているが少しだけ進化したもの、少しだけ新しいものを好み、それ以外を嫌う。

 

「わかる」とは、自分の一部分をバラバラに解体し、相手の一部分を取り込み、新たな思想を構築することである。

相手に「わからせる」のは、相手の一部または全部を解体させようとすることである。

 

好きなものは、自己に取り込もうとする。そうして、うまく仲間になると自己の一部と認識する。しかしこの時、取り込まれないものは非自己として、嫌いなものと認識してしまう。

この非自己が近くにいると、目障りになる。そうして最悪の場合、排除するか殺す。

 

和平とは、わからないもの同士が互いをわからないまま、適度な距離を保ちながら、認めあうことである。