トムラウシ〜旭岳大縦走(4) | 田中さなえオフィシャルブログ「いそがず休まず」Powered by Ameba

トムラウシ〜旭岳大縦走(4)

(2012.8.18~8.22)

4日目 つづき。

11:45頃、白雲岳の分岐を出発し、
山頂を見上げながら北側の登山道をゆく。
 

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白雲岳(2230m)は岩峰で、ゴロゴロした岩や砂利の斜面に雪が残り、
こんなところにも可憐な花が咲いている・・・
イワウメとちょっと似ているけど、本を見ると、これは
「白雲岳の雪田帯に多いチシマクモマグサ」のようだ。かわいいお花。

そして、この付近は、ナキウサギの生息地。
あちこち鳴き声が飛び交っていて、歩きながら声の方向に目を向けるも、
岩と岩の間を棲家にして隠れているので、なかなか姿が見えない!
体は小さいのに、声は鋭く大きいのでよく響く。

立ち止まって、しばらくシャッターチャンスを待つことに。
するとっ! 一生懸命、草らしき物を運んでいるナキウサギを発見!

「あはっ、み~~~っけ!そんなん持ってたら目立つわ~っ」(笑)

旦那に 「はやく撮って!あそこあそこっ!」 お願いして撮れたSHOTカメラ
かわいい~~~っ キュン!と鳴く瞬間も見られた!よかったぁ!

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ナキウサギに出会えて、疲れも吹っ飛び、がぜん楽しくなって来た!
岩にかかれたペンキの印も顔みたいでかわいい!

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白雲岳の岩礫地を抜けると、風景が一変!
また緑が増えて、今度は黄色いお花が咲き乱れ、
むこうにとんがり帽子の烏帽子岳が見える!

そして、しばらく広々とした稜線を歩いて、見えてきたのが北海岳!
ここも、緩やかに見えるしすぐ登頂できると思いきや、なかなかキツい登り!
やっぱり大雪山は何もかもスケールが違うんだねぇ・・・

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13:00 北海岳 (2149m) 到着!
ここから御鉢平が一望でき、むこうには北鎮岳と稜雲岳が・・・

なんとこの御鉢平は、3万年前、この場所にあった成層火山が大爆発して
できたカルデラ地形で、かつては水が満々とあるカルデラ湖だったという。
しかし、1万年ほど前に北東側の外壁が崩壊して水が流れ出し、
現在の状態になった・・・という壮大な歴史をもつ。

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ヒグマには出会いたくはないけど、せっかくだし遠くからなら見てみたい・・・
と思っていたら、とうとうお目にかかれたっ クマ目

カメラが望遠レンズじゃないので顔まではわからないけど・・・
我々は望遠鏡でしっかり確認。ほんまもんやぁ~~~っ!
荷物が重いのに持ってきた望遠鏡も、最後に役に立ってよかったね~。

北海岳から間宮岳への稜線は風が強い。

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間宮岳付近で足下の土の色が変わった・・・赤や黄色が混じっている。
なんだか少し雲が厚くなってきた・・・
最後の旭岳からの展望に期待していたのに・・・どんどんガスってきた。
そして、最後の最後に難所が訪れた。
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7月中だともっと雪渓が残っていて、急斜面の雪渓を登らなければいけない。
それは免れてホっとしたけれど、いや逆に雪渓の方がまだ楽だったかも・・・
この土砂が曲者で、かなり足を取られて滑り落ちてしまいそう・・・
怖くて次の一歩がなかなか踏み出せない。
タイムリミットが迫るなか精神的にも追い込まれ、
さすがの私も体力の限界を感じ、足が止まってしまった。
そして悔しさで涙が出た。 
先先いっていた旦那がさすがに放っておけなくて?見かねて?
やっと私の背後に付いてくれた。
下に支えがあると思うと恐怖心もぜんぜん違う、安心して一歩踏み出せた。
もっと早くそうしてもらえばよかった。
そんなこんなで、苦しい涙の登頂となったしょぼん

14:48に雪渓付近にとりつき、登頂した時刻は15;26。
約40分の死闘が終わった・・・(そんな大袈裟なっ)

旭岳 (2290m) 北海道で一番高い、大雪山の主峰!

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登ってホッとしたのも束の間、今度は下りも石がゴロゴロして滑りやすいし
かなり厄介な道。もう足も限界・・・
とくに下りはつま先が痛くて、なんとか気力で耐える。
ロープウェーまで1時間半・・・真っ白で何も見えないし何も楽しくない!
あぁ・・・遠いなぁ~・・・
と思っていたら、雲が切れ、淡い光が降り注ぎ、幻想的な風景が広がった。

あとはもう本当に気力だけ。
「絶対下山して早く温泉に入りたい!」 ただその一心で山を下った。

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16:56 姿見の池 到着。 ふぅ~~~なんとか下山できたぁ~~~。
もしもロープウェーの最終(17:30)に乗れなかったら、
温泉もキャンセルしてこの石室で寝るはめになっていた・・・。危ない危ない。
4日間の素晴らしい山旅と無事に下山できたことを感謝し、
大雪の鐘を鳴らした。

夜、湯駒荘でたっぷり温泉にも入って美味しいお料理を満喫し、元気回復!
翌日の朝、ある人と再会の約束をしていた・・・。

晴れ渡る空。昨日見られなかった旭岳の全貌が見える! でかいっ!

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そうです!おはよう朝日のロケ以来!なんと17年ぶりの再会を果たした
ガイドの池永甦次さん!
当時、旭岳ビジターセンター長を務めておられました。
御歳80歳になられたそうですが、いまも現役。フリーのガイドをされている。

この日は、子供達に自然の遊びを教えるガイドを
麓にあるキャンプ場でする予定ということで、朝9時すぎに待ち合わせた。
すると、仕事はキャンセルになってしまったそうで、
わざわざ私たちのために車を飛ばして来て下さり、しかも午後のガイドまで
時間があるから「空港まで送りましょう」と仰ってくださった・・・ 
いやいや、そんな・・・と言いつつ、
17年ぶりだし少しでも長くお話していたい気持ちが強く、
大変恐縮ながらありがたくお言葉に甘えて送っていただいた。

途中、忠別湖を通り、ちょっと車を降りて写真を撮ったり、
大雪山旭岳源水の水汲み場に寄ってもらったり、
あっという間の40~50分だったけど、最高の旅のしめくくりが出来ました。

車中で聞いた話では、
池永さんは29歳の時に大雪山の雄大さに魅せられて、
故郷・山口県から北海道旭川へ移住。赴任先の高校で山岳部をつくり、
高体連や国体山岳競技の指導にあたる。山歴60年以上の大ベテラン!
競技スキーもされていたので冬山がお好きなんです。
聞いてビックリなのが、今年の冬はスキー板を新調して、
ガンガン滑りまくろうと思っているそうです(笑) 
そして来年5月の雪の富士山にも行くと言っていました。
そのパワフルさと衰えを知らぬ山への情熱に脱帽です。弟子になりたい。

池永さんは、旭川・大雪山では有名な御方・・・
もしも訪れる機会があれば、ガイドをお願いしてみてください。
詳しくはこちらのサイト まで。


というわけで、
池永さんにお会いして、さらに大雪山の魅力にはまってしまった。
秋の錦繍も美しいし、雪の旭岳も見てみたい・・・
またいつか、再会を願って・・・


おわり。