働く母親のジレンマ① | 中国レポート

働く母親のジレンマ①

 日本に戻ってきました。「女性が子を産んで仕事をする社会」みたいなのが参院選の大きなテーマになってるようですね。
 「産む機械」発言の大臣が辞職した頃、当時の上司に「お前って子ども産んで働いて税金も納めて、模範的な国民なのに、社会のマイノリティなんだよなあ」と言われました。
 いつも内角いっぱいいっぱいのボールを投げてくる上司で、↑も相当な不規則発言ですが、確かにそうですよねえ。

 子どもを産んでから、私はいつも謝っていました。

 来週、子どもの遠足なので、午後3時ごろまで会社に来れません。すみません。
 子どもが水疱瘡になったので、病院に連れて行ってきます。すみません。

 保育園では
 迎えに行くのが遅れてすみません。
 バザーの提出品が期日に間に合わなくてすみません。

 実家の親にも、
 今日、飲み会が入った。帰れない。ごめん。
 来週出張だけど、ごめんけど子ども見てくれない?


 ほんと、「すみません」ばかり言ってた気がします。

 中国では、そんなことはなくなりました。
 小学校が短縮授業に突入すると、教員の子どもたちが大学の構内をうろうろしています。
 教員食堂で子どもにご飯を食べさせるのも普通の光景。

 突然学校から「明日は大雨だから休み」と連絡が入っても、普段放課後に預けている託児所の先生が「なら、明日は朝からうちに連れておいで」

 男女ともに働いていて、社員構成も半々。子育てと仕事の両立は誰でも降りかかる問題だから、「すみません」と言う必要はないのです。

 「ありがとう」でOK。


 
 日本の生活は中国に比べると便利で清潔で楽です。

 でも、育児の負担は女性に集中していて、子を持つ女が本気で働こうとすると、毎日のように「すみません」と言わないといけない。
 中国に来て初めて、私は日本でのストレスの源が何だったのかを知りました。


 両立支援については、いろいろな政策が出ているようですが、
 「子どもを育てながらフルタイムで働く人が、すみませんの代わりにありがとうと言える社会」
 それが究極の姿なんじゃないかな。と当事者は思うのです。