坂本龍馬暗殺「近江屋事件」 其の三 | 坂本龍馬資料館ーRyoma Museumー

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峰吉と岡本が出ていって間もなく、「近江屋」の店先にひとりの武士が姿を見せました。
ちょうど爪楊枝を削っていた藤吉が対応すると、大きな名札を差し出しました。

「拙者は松代十津川郷士だが、才谷先生にお目にかかりたい、ご在宅か」

大和十津川の郷士たちには龍馬も知人が多いことを藤吉は知っていたうえに、龍馬の変名である才谷梅太郎の名前で訪ねてきたので、藤吉はこの武士は龍馬の知人であるだろうと考えました。

「少々お待ち下さい」

藤吉は名札を手に階段をのぼりはじめました。
藤吉の様子から二階に坂本龍馬がいることを十津川郷士は確信し、続いて複数の刺客も外から土間に飛び込びました。
刺客達は藤吉の後ろからそっと階段を駆け上がります。

このとき、刺客のうちの一人が、食事中だった家の主である井口新助とその家族に刀を突き付けて、声を出さないように脅したという説と、階段を駆け上がった刺客たち以外に、三人が表で見張りをしていたという二つの説があります。

刺客たちは階段を上がりきると、そこで一気に藤吉を後ろから袈裟に斬ります。
藤吉は階段から音を立てて倒れます。
このときも、藤吉は即死であったという説と、全てが終わったのち、まだ息があったという二つの説があります。


「ほたえな!」

叱ったのは龍馬でした。
「ほたえな!」とは、土佐の方言で「騒ぐな」の意味です。
元相撲取りだった藤吉が「近江屋」の店の者と遊んで相撲を取り、倒れた音だと思ったのだそうです。

先ほど藤吉を斬った刺客達は、刀を鞘に収めて、なに食わぬ顔で龍馬のいる部屋に入ります。
龍馬と中岡は火鉢を囲んで話し込んでいる最中でした。


だが、刺客達は二人いるうち、どちらが坂本龍馬かわかりません。

「坂本先生、ごぶさたしています」

刺客はどちらへともなく頭を下げます。
すると、「どなたでしたかな」と片方の男が首をかしげました。

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