『大鋒院殿御事跡稿』より


御所蔵

きあいよく候折から、くわしく[   ]申候、
御状之趣披見申候、貴殿屋敷之事、とかく以面可申談候、様子書状ニてハ不成候、我等儀昨晩より風ひき申候や、さん―相煩、只今あせ少いて申候、枕もあかり候ハぬほとからたいたみ、ふせいり申候、此返事もわけ見候□□□ かしく

隼人殿  伊豆守


語訳

具合がよくなったら、くわしく[   ]言う。
隼人からの手紙を読んだ。お前の屋敷の事だが、書状からだけでは様子がよくわからないので、とりあえず会って相談したい。私は昨晩から風邪をひいていて、さんざん煩っている。今も汗をかいている状態だ。枕にも上がれぬほど体が痛くて寝ている。この返事も(ちゃんと書けてるだろうか□□□) かしく

隼人殿  伊豆守

※()内は解読不可の文字が入っている為、予測とした。


隼人とは、信之の三男である真田信重である。
どうやら隼人が自分の屋敷の事で信之に相談したのだろう。それについての返事である。
この手紙を読むと、律儀な父親像がうかがえる。
風邪をひいて汗をかき、枕に頭を乗せることができないほどに身体の痛みを訴えながらも返事を出している。
しかも最後には「返事もわけわからん状態になったかもしれんけど、ごめんね」という感じで締めくくる辺り、お茶目さも忘れてはいないところに信之の人柄も出ている。

一般的に信之は真面目で通っているが、こういった手紙を見るとやはり天然も少し入っていたように感じる。
とりあえず届いた手紙にはすぐに返事を出したい。何故なら、相手が返事を待っているからだ。
たとえ風邪だろうと脚気だろうと、もらった手紙にはすぐに返事を出す。
こういった小さなことの積み重ねも、信之の為人を高評価に繋げた要因の一つだったのかもしれない。

ただ、これを読んだ隼人は、きっとこう思ったに違いない。
「父上・・・返事は風邪が治ってからでいいんですよ・・・?(´・ω・`)」




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