長年、眠っていた自作の江戸和竿で、・・・・・ん?
そもそも江戸和竿と言って良いのかと思う節がある
作ったのは平成12年9月となっているから、25年前に作ったもの
当時、江戸和竿師の四代目竿治親方、師匠に教えていただいていた参之治会の研修会での2本目の作品だから
まー許していただこうと思う
漁港の岸壁から、鯵が釣れて、25cmくらいまでなら、船でのちょい投げの鱚竿なら使えるかもしれないと思い
2号の鉛の錘に、棒浮きで楽しく釣れ続いていましたが
一昨日の夕方に、中芯の所から折れてしまいました
折れた原因はと推察するに
時折釣れる赤カマスの大、推定1匹450-600gに対し、合わせを入れたり、水面からごぼう抜きで抜き上げる時に当初の中芯の強度の限界を超えてしまったのではないか
この竿で、何匹かの赤カマスを釣り揚げたので、油断してしまいました
本来、竿先や、胴の張りが、魚の張力に耐えるには、竿捌きやリールのドラッグ等で過大な負荷が竿にかからないようにして
タモと呼ばれる網ですくい揚げるのが常識ではあります
しかしながら、カーボン竿に慣れたり、何回かの抜き上げできたことから慢心してしまったのではないかと
竿が折れた原因の考察、講釈はこれくらいにして
いざ、竿の中芯の修理
現在使っている竿の継ぎ方は「印籠継ぎ」と言われるものです
竿治師匠のお約束は、教えていただいたのは
中芯は強過ぎたらだめ、仮に鉄心みたいなのを入れると、そこで曲がらず、負荷が竿全体に伝わらないで
中芯の両端付近から折れるか、竿全体の中で弱いところで折れるから修理不能になるから
中芯に竿の竹より強い太いカーボン芯や鉄心とか入れてはいけない
それから、カーボン芯や金属の芯を入れていると、ダメージが大きく、中芯を取り去り難くなって、修理できない
修理できない竿を作ってはいけない
中芯の強度は、3層に竹を入れ子にして強める
研修会で、実際に中芯を割って見せて頂いたのがこれ
それと、竹では肉の部分にはほとんど力はなく、皮目に近いほど強度がある
肉は浚っても強度に関係ないけど、竹の皮を残すように
倉庫の屋根裏に保管していた竹の部材
中芯に使えそうなのをより分けました
中芯に使いうのは両端が空いた空洞の竹ではなく、節で切って閉じたところがある竹で
必ず古竹を使う
本来ならば火入れするところですが、今回は省略の手抜き
色々さがして、竿側の開いた径を少し広げたりして、中芯完成
工作時間は大体2時間くらいかなー
3層にして、中心に古竹の表皮部分を約1mm径の棒にして詰めました
すげ口には皮の部分が来るように整えます
もう少し、奥まで入る竹はないかと探しましたが、残念ながら該当の竹は見つからず
すげ口を浚いすぎるとそこで折れるので、これが自分の限界かと
昔、強度的には径の3倍以上の長さがあれば良いと聞いたような
ただ、短すぎると強度より、振り込んだ時にすっぽ抜けないかとそれが心配
水性ボンドで固定する前に、振ったときに変なスキがあってガタがないか確認して昨夜固定
今日の昼過ぎに竿の負荷試験
このロッキングプライヤーの重さは535g
リールをつけ、糸を通し、これを結んで、ゆっくり引き揚げる
中芯部分がくの字にならず、穂先から手元に力が加わり、持ち上げられたら、ひとまず合格
だいたい鱚竿なので、想定するのは大型の鱚でも1匹100g
通常釣れるのは50gで、2本仕掛けのダブルで来ても100-200g
なので、300gも持ち上げれれば上等
鰺に至っては、大アジと呼ばれるサイズ4歳 25~30 cm 約200~350 g
なので、中芯の作成としては十分合格圏内かと
仕上げは、中芯を漆の拭き漆塗り
漆を指で塗り、拭き上げてお終い
さて、これまでの道具
20年近くしまい込んでいるので状態確認
紙やすりと削り台
大きな作業台はしまい込んでしまって、竹を削るときに傷がつかないようにする台
竿治親方が伝統工芸展の実演で使用されていたものです
丸太にかすがいくぎを打ちこの台を固定
棒鑢、ごず棒、掻き出し、突きノミ
竹ひご削り、平鑢各種
参乃治会の研修会でも、あれが良い、これが良いと話題の平鑢でした
和竿を扱う店で、材料を扱う店にはお勧めの平鑢があります
好評だったのは、右から3番目の東急ハンズで販売していた輸入の鑢でした
今も売っているかは分かりません
道具も一期一会です
小刀各種
細工で使うのは切出刀3分がほとんど
これにも蘊蓄があり、固い鋼は高価で切れるものでも細工には向かない
竹の肌は思った以上に固い、固くて鋭利なものは刃こぼれする
適度にしなり、小刀は研ぎながら竹の表皮を削る位に使う
刃は立てない薄い鉋屑みたいなのシュルシュルと刃が食い込まず削り取る感じ
左の2本が竿治師匠推薦の浅草橋森平の8分と3分
切り出しを研ぐ砥石
塗り台
引き出しのある小型箪笥の上にガラスを張り付けたもの
漆に混ぜる顔料と漆
私は漆に負けて、かぶれやすいので気を使います
15年前以上のものなので、漆が乾かないかもしれません
漆が乾くとは、通常の塗料のように溶剤が揮発して固まるのではなく
漆が重合体に変化して固まり
固まるためには、温度と湿度が必要で
「漆室」を防塵と加湿、温度維持に使いますが
今回はやかんを乗せたストーブ付近で自然乾燥を待ちます
固まらなかったら、漆だけ買いなおして塗り直しか
他の部分と同じのカシュ―漆で仕上げかな
漆は吉野紙で漉して、ゴミや変に固形化した部分を取り除いて使います
指で満遍なく塗り、最後にキムワイプで拭き上げてお終いです
漆を塗る前
漆を塗った後
漆が正しく硬化してくれれば、色は濃くなり差がはっきりすると思います
竹の肌を守る簡単な防水処置でしょうか
倉庫の屋根裏を整理していたら
竿治師匠の作りかけの竿がありました
3本継で、変え穂仕様の竿で船竿で鯛とか中型の魚ならこれでいけそうです
大型のめごち、カレイや、鯵の籠釣りにも対応できるかもしれません
2本継の竿で、手元が接着されていませんし、中芯の調整の削りもされず
リール用のシートやガイドもついていません
見ずらいですが良く見ると、竿を矯める時の凹みが気になります
この作りかけの竿は、このままにしておいて、思い出のコレクションでも良いけど
出来れば仕上げて使ってあげたいという衝動に駆られました
特に下の竿は、明らかに小鰺用ではなく、これなら赤カマスにも難なく対応するかもしれません
さてどうしようかな
お終い



















