「2文型メソッドについて」
今回は、お問い合わせの一番多い、私の提唱しているメソッドである「2文型メソッド」についてお話したいと思います。*10年かけてここまでたどりつきました
まず、結論から言って、この方法がスタンダードになり、義務教育でも使われるようになれば、日本人の英語に対する「難しさ」は大きく解消され、ひいては英語嫌いを減らして、英語好きを増やし、さらには英語を武器に活躍できるビジネスマンを増やし、海外へどんどん攻め込んでいくことで日本経済の未来も明るくしていくのではないかと確信しております(大げさ)。
でははじめに、この分解話法「2文型メソッド」がどのくらい画期的かということを、視覚的に見ていただきたいと思います。
あらゆる英文を理解し、英語を使うために必要な考え方である、従来の「5文型」
第一文型:S + V 例 He laughed.
第二文型:S + V + C 例 She is busy.
第三文型:S + V + O 例 I ate lunch.
第四文型:S + V + O + O 例 I sent him a package.
第五文型S + V + O + C 例 I put it on the table.
*S主語V述語O目的語C補語
「2文型メソッド」
第一文型:A=B 例 I am a student.*Be動詞は「=」という記号と考える。
第二文型:何が→どうする→何を 例 I like dogs.*Be動詞が核とならない全ての文章はこの文型になります。
たったこれだけです。(実際、英語の9割がたがこの2つのパターンのどちらかで理解できてしまうのです!)
ポイントは、五文型の分け方とは全く違い、「文章の核となっているのがBe動詞かどうか」それだけで文型を2つに分けてしまっているところです。
実はココが画期的なのです。
ちなみに、「2文型メソッド」でそれぞれの文型の例をあげてみます。
(2文型メソッドの)第一文型
I am a student. 「私=一人の学生」
I am studying. 「私=勉強している状態」*いわゆる現在進行形のかたち
The computer is broken. 「そのパソコン=壊れている状態」*いわゆる受身のかたち
(2文型メソッドの)第二文型
I like dogs. 「何が→どうする→何を:私は→好む→犬を」
基本はこれだけです!
これを常に核として理解していけば、分詞構文も関係代名詞も、AやB、何が、何を、の部分を「大きくする」ための技術でしかないと直感的にわかるので、基本はずっとこの2つの文型のどちらかにしかなりません。
しかも、一見複雑な長い文も、本質(文のなかで一番重要な骨子)は3つの単語(Aの核となる単語、=の単語、Bの核となる単語)もしくは(何がの核となる単語、どうするの単語、何をの核となる単語)になってしまい、まるで北斗の拳のケンシロウ(古いですね)が相手のヒコウ(急所)をつくように、その英文の核を容易につくことができるようになります。
たとえば、(敢えて難しい文章にしますが)
The person I saw yesterday in Shibuya was actually one of your friends you introduced to me before.
(私が昨日渋谷で見た人物は実はあなたが私に以前紹介したことのあるあなたの友人の一人でした)
は文章の核だけ抜き出すと、
The ■person■ I saw yesterday in Shibuya ■was■ actually ■one■ of your friends you introduced to me before.
person was one. 「person=one(この場合は友達のこと)」
*わかりやすくするとperson = one of your friendsでも問題ないです
という第一文型になり、personを説明して長くなったものが、後半のone以下の説明とイコールだといっているだけの英文構造になります。
また、従来の5文型では、
He is hungry.
He looks hungry.
はどちらも同じ文型(SVC)になってしまいますが、
「2文型メソッド」は単純明快ですから、
He is hungry.(A=B)
He looks hungry.(何が→どうする→何を)
の2つ、別の文型にはっきり区別します。
なぜなら、「Be動詞が文の構造の核となっているかどうか」だけに注目するからです。(従来の5文型は動詞は「Be動詞も一般動詞も全部同じV」になっているため、英語の本質を捉えにくくしてしまっています・・)
そして、この新しい分け方をすることで、さらに英語の本質をつくことができてしまいます。
He is hungry.は彼=空腹の状態(*実際にそうである)
He looks hungry.は彼が→見えている→空腹の状態に(*実際にどうかはわからない)
となり、非常に重要な、根本的な意味の違いまでハッキリと理解することができます。
さらに、この考え方を基準にすることで、特に日本人が間違えやすい(感覚的になじみづらい)数多くの問題も「不思議なくらい」簡単に解決できるようになります。
たとえば、
ある程度みなさん経験があるとは思いますが、
飛行機などで「Beef or Chicken?(牛肉ですかそれとも鶏肉にしますか?)」と聞かれて、
「I am chicken.」と堂々と言ってしまう、もしくは違和感を感じないことってないでしょうか?
Be動詞を「=」という記号だとはじめから押さえておけば、「私=鶏肉」という発想がオモシロすぎることに気づくはずなのです。
現に私の生徒さんはこういったミスをまず犯さないようになります。(字面に囚われずに、本質を理解していけるようになるからです)
他にも、
I am studying.(私=勉強している状態)
と理解していれば、studyingが形容詞のように使われることが感覚的に身につくので、分詞構文を導入する際にも、
a running boy(走っている少年)
a singing boy(歌っている少年)
というブロックが自然に作れて、そのブロックをさらに2つしかない文型に当てはめれば
The runinng boy was my brother.(走っている少年=自分の兄弟)
The singing boy looked at me.(歌っている少年が→見た→私を)
というようにいくらでも発展させることができます。
関係代名詞などがいくら絡んできても、結局はAやBのブロックを長くするだけで、基本の英文構造は常に2つのパターンのどちらかです。
実は、この「2つのパターンだけ」というのも重要で、これがもし3つのパターンだと、「1じゃなければ、自動的に2になる」と単純には考えられません。まして5パターン(5文型)など・・。
「文章の核がBe動詞かどうかを見るだけ」
実はこの考え方が身につけば、スピーキングなどでも非常に単純明快で、スッキリとした文章で話せるようになり、軸がしっかりした上で関係代名詞などもきちんと使えるようになっていきます。
また、インプットとアウトプットの能力は表裏一体ですから、普段からこの「2つのパターン」を意識して英文を読み、リスニングなどに取り組んでいけば、従来の5文型主体の「複雑な英語の世界」から、「シンプルで明確な英語の世界」で生きることができるようになります。
私も未だに「ウッ」となったときには、「2文型メソッド」で解決の糸口をつかむようにしています。
また、このメソッドに則って、2つのパターンだけで(そもそもほとんどそうなっているのですが)言いたいことをどう表現するか考えながら英語日記をつけていくと、添削するほうからみても「残念ながらこれでは意味を成さず、しかも一文が長すぎて添削しようがない!」という、よくある、「生徒も教師も何も得るものがない状態」から抜け出すことができます。(これがベースになれば集団教育でも添削を効率化できるはずなんです)
この2つのパターンが身についたとき、それはまさしく「英語の語順」で自然に考えられる状態です(もう日本語の語順に戻ったり、日本語で考える必要はなくなります)
そして、段階的に高度な、それでいてわかりやすく、スピーキングにもつなげられる英語日記に取り組むことができるようになります!
しかも、この他にもメリットはまだまだあるんです・・。
・従来の文法解説も、ほぼ全てそのまま適用でき、しかもわかりやすく学ぶことができる。
・学校での授業や、大人がレッスンを受ける際にも第一回目から導入でき、あとは全てそれをベースにして発展させていくことができるので、軸が最後までブレません。
・音読する際、意味の区切りを無理なく「同時通訳式」で前から後ろへと意識できるようになり、英語の自然なリズムと流れも身につけられます。
・致命的なミス(意味が意図せず通じてしまうなど)を自然に避け、自分でもよくわからないモヤモヤした文章を口にしてしまうことを防ぐことができます。
・現在完了形の経験、継続、完了の3用法をはじめ、あらゆる場面で英語を理解するための柱として利用できます。(難解な文法用語もかなり省略できます)
・TOEICの文法問題や、ビジネスレベルでの読解もほとんどの文章が「2つのパターン」の羅列として簡単に捉えられるようになり、速読もしやすくなります。
・実はこの発想こそが一番ネイティブにも伝わりやすく、異文化を持つノンネイティブ同士でもスムーズにやりとりできるようになるコツなのです(日本人がコミュニケーション上弱いとよく言われる理由である、いわゆるロジックの習得につながります)
ところで、話が飛びますが、たとえばオランダのように資源のない小さな国では、他国との交流をうまくやっていくことができなければ国として自立できませんので、国家規模で外国語学習(もちろん英語も!)に助成金を出したり、本格的にサポートするインフラを持っています。
他方、外国語を積極的に学ばなくてもやっていける大国が中心となる、英語圏出身のネイティブの立場から英語教育を見ると、5文型ベースの基本教授法は相手の母国語など無視して、十把ひとからげに、世界中誰にでも自分の基準で英語を教えられるので、「大量生産方式」ともいえる、おいしいスタイルなのかもしれません。ですが、これが今でも日本人にとってベストな方法かどうか、そこを私は問いたいと思います。
そもそも、日本人がネガティブな動機(英語をやらないとヤバイ、など)を原動力にしていても、これから世界で勝ち残ることは難しいし、何より楽しくないでしょう。
ですが、日本が今まで世界の経済戦争で「勝ち越し」てきたのは、古い世代の日本人ががんばってきた、という事実もあります。もちろんこれは、今の日本でできる生活がどれだけ恵まれているか、気づきにくい世の中であることをふまえてのことです。
これからは、海外で活躍しているスポーツ選手のように、攻めの姿勢で英語に取り組む(もちろん強制ではなくて、やりたい人だけやればいいと思います)、ポジティブで楽しい、日本人のための戦い方(英語編)が必要ではないかと思っています。
そのような想いも、実はこの「2文型メソッド」には込められています。
インターネットが広がった今の世の中、この考え方が、しがない英語屋のつぶやき(ひとつの意見)としてでもいいので、どうにかこうにか広まって、文科省に届く日が来ることを願って!
プライベート英語教師タカシ
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