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坂本龍馬の「近江屋事件」を記述する前に、御庭番について記してみます。
御庭番といえば、時代劇などで忍者として登場する事が多いと思います。
漫画るろうに剣心でも、登場キャラクターの「四乃森蒼紫」が幕末に御庭番衆の頭として、隠密活動をしていたという設定になっています。
では、「御庭番」とはいったい何なのか?
実は御庭番とは、江戸時代に存在した忍者ではなく武士の職業の一つでした。
江戸時代の武士の職業は、大きく分けて、警備等がメインの武官役職の「番方」と、官僚や事務職がメインの「役方」がありました。
「御庭番」は「番方」の方に分類される、主に極秘任務を担当していた役職です。
八代将軍、徳川吉宗が紀州徳川家から江戸城に乗り込む際に、連れてきた足軽であり、もともとは、紀伊で「薬込役」という鉄砲関係の番方でした。
「御庭番」となってからは、平常は奥向きの警備を担当し、出入りの人夫や職人などを管理、監視するのが本務になりました。
その御庭番ですが、将軍や老中から特命が下ると、変装して目的地に潜入し、情報収集にあたる事がありました。
この行動が、忍者と類似していたことから、忍者と誤認された原因だそうです。
御庭番の者は元足軽で、低い身分ではありましたが、情報収集や分析力の優れた者が抜擢されて出世することも多く、幕末には旗本末席まで家格が上がった者もいます。