26年前の今日、僕はこの世界に産声を上げた。
超貧乏な5人家族の末っ子として。
この家に生まれ育つ事。それは、僕にとって試練だった。
小、中学生時代に受けたいじめ。
両親の不和。
僕と兄貴の間にあった壁。
正しさで僕を押さえつけた家族。
酒乱のオトン。
辛い顔で毎日過ごしてるオカン。
上手くいかない友達との関わり。
必要とされない自分。
何で?って思った。
何で、こんな家に生まれて来てしまったんだろう。
僕なんか生まれて来なきゃ良かったのにって。
家族を怨み、世界の全てを憎んだ。
全てが灰色に見えて……
人を愛せなくなった。
だから、誰も自分を愛してくれないように感じていた。
何もかも嫌になって、何度も命を絶とうとした。
だけど、いつからだろう?
心地よい風が、色とりどりの花の香りが
、澄みきった空が、蒼く広い海が、そして人々の笑顔が……
全てが美しいと感じる様になったのは。
自分が沢山の人に愛されていたと、いつしか気付いたから。
僕はオトンみたいに男らしくないし、
オカンみたいに強くないし、
姉ちゃんみたいにしっかりしてないし、
兄貴みたいに器用じゃない。
だからせめて、何の取り柄も無い僕は……優しく在ろうと決めた。
ただただ、心から人に優しく在ろうと。
それが、僕に出来る唯一つの事だから。
今の僕は、『ありがとう』と言えるから。
だから今僕は、幸せです。
今日という日に『おめでとう』を貰える幸せ。
そして、オトン、オカン。
僕に生んでくれてありがとう。
今朝、オカンが出かける前に目が覚めた僕は、今までの26年間の感謝を込めて……
『生んでくれてありがとう』
っていうのは恥ずかしいから、この言葉を伝えました。
『お誕生日ありがとう』