藤岡弘、探検隊のエピソードを1つ。


ミャンマーを探検した時、日本語通訳として我々に同行した青年がいた。


僕が感動したのは、彼の日本に対する愛情というか好意を持った心情が、言葉の端々から伝わってきたことなんだ。


確かに日本語通訳として入ってきてはいたんだが、彼の日本語は割とたどたどしい。


でも、彼は真剣に誠意を持って話すので、言葉は足らなくても言いたい事は伝わってくる。


そういうコミュニケーションだったことを覚えている。


僕は彼に凄く興味を持って、どこでこの日本語を覚えたの?って聞くと、独学ですって言うんだ。


びっくりしちゃってね。


どこか学校で勉強してないんですかって聞いたら通っていない、と。驚いたね。


もう一つ、どうして独学で習う気持ちになったの?って聞いてみた。


すると彼は、将来アメリカと日本のどちらに行くか考えて、憧れの大好きな日本を選んだ、と言うんだ。


好きだから日本語を勉強するようになって、そしてそれを一生懸命やるようになった。


だから、今こうして日本人とお会いできるようになって嬉しい、と。


「好きこそものの上手なれ」というけれど、まさしくそういう「心」があるから伝わってくるんだなって思ったね。


ちょっと言葉が間違っていてもその間違いはわかるし、充分コミュニケーションはとれる。


彼の夢は日本に行くことなんだが、現実的にはお金もかかるし、ミャンマーから国外に出る時に手続きも大変らしい。


だが、このような真剣な若い青年が日本に来たらきっと感動するはずだし、ミャンマーと日本の関係も良くなっていくんじゃないか、って思ったね。


彼のたどたどしい日本語は、ちょっと周りから笑われたりした事もあったが、だけど僕は逆に凄いと思ったし、友情が深まって彼と仲良くなれた。


この出会いを通して、心情の交流というのは本当に大事なんだな、と思った。


多くのことを学んだというか、いい出会いだったね。


合掌、
藤岡弘、


藤岡弘、オフィシャルサイト



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