前回の続きです。
賃貸経営は円安・インフレ時代に有利な投資方法でしょうか?それとも不利でしょうか?
私はミドルリスク・ミドルリターンだと考えます。
不動産賃貸自体はインフレに不利です。
賃貸中の家賃の値上げは法律で事実上規制されているからです。
借地借家法32条1項は、
(1)土地もしくは建物に対する租税その他の負担の増減があったとき、
(2)土地もしくは建物の価格の上昇もしくは低下その他の経済事情の変動があったとき、
(3)近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったとき
の3点を挙げて、賃料の増減の請求をすることができるとしています。
つまりインフレによって地価が著しく値上がりした時や
固定資産税や都市計画税が著しく上がった時は家賃を値上げできるとしているのですが
これは当然に値上げできるのではなく
賃料が不相当になったと説明できることが必要なのです。
実際にどの程度の開きがあれば不相当になったといえるかは、
具体的に説明することは難しいところです。
例えば、固定資産税額が5%程度上がったからといって、
その事情だけで現在の賃料が不相当になったとはいえませんから、
固定資産税額の上昇の理由だけで、5%程度の賃料の増額が認められるわけではありません。
加えて家賃に対して世間の目は厳しいものです。
コロナ禍で飲食店が自粛に追い込まれたときに
「飲食店の大家は家賃を免除しろ!」と大合唱が起こりましたこわかった~
きっと家賃は不労所得でズルいという意識が世間にあるのでしょう。
実際は家賃がないと物件購入のローン返済ができなくなるのですが世間は分かってくれません
インフレで庶民の生活が苦しきなっているというときに
住居中の家賃の値上げは難しいでしょう。
既存入居者の退去後、新しい入居者に切り替わる段階で初めて値上げができる
と考えていた方が良さそうです。
では賃貸経営はダメかと言うとそうでもありません。
保有している物件の価格がインフレに連動して上昇するからです。
トータルで考えると有利だと考えます。
ちなみにデフレの時もトータルで考えると有利になります。
保有している物件の価格が下がっても、家賃は下がりにくいからです。
つまり不動産賃貸は常にミドルリスク・ミドルリターンの投資法なのです。