追憶のかけら 貫井徳郎 | In Hamony Today サムイを夢見る日々
- どんでん返しのラストが見事だった「慟哭」の作者、貫井徳郎の最新新書。
- 「慟哭」確かに仕掛けとしては衝撃を受けた作品だったのですが、小説としてはそれほど好みではなかった、という風に感じました。それでもその後、文庫化された多くの作品を読んでいるのは何故でしょう。(と自問自答) 好みであろうとなかろうと、とにかく先へ先へページをめくりたくなる筆力を持った作家である、ということなのでしょうか?本作も、結果的には時間を忘れて深夜まで読みふけってしまいました。
- 貫井 徳郎
- 追憶のかけら
ものがたり:
主人公は、最愛の妻と死別れたばかりの国文学者(大学講師)。失意の中にある彼の元に、数十年前に自殺した、ある作家の未発表遺稿が届けられる。現在のどん底の境遇から逃れるために、手記の中に書かれていた自殺の真相を追い求めるうちに、主人公にも悪意に満ちた災厄が降りかかってくる・・・
本来的な意味での謎解きがあるわけでもなく、「ミステリー」のカテゴリーとしては、やや中途半端。むしろ、大切な人を失った主人公の喪失感、が繰り返し描かれています。(出版社がカテゴライズしている「ミステリアスロマン」というのも、その辺りを意識してのことでしょう)
そもそも「最愛の人を亡くした喪失感」なんてものを、純愛のフォーマットで語られても説得力ないし、個人的には恥ずかしくて読む気も起きません。ミステリーというカテゴリーでこんな話を描いているから説得力がある、ともいえます。
構造的に過去の手記(旧仮名遣い)を挟み込む二重構造になっているので、若干読みにくく感じるかもしれません。が、それによって手記と現実に登場する「悪意」をより一層実感することができます。

