仕事を終え、空港に向かう。時刻は夜10時半ごろ。疲れでついうとうとしていたとき、右にある窓ガラスがガシャーンと音をたてて壊れる音、そして割れてとびちるガラスを感じて我に返る。
壊れた窓から、私のひざの上にあったカバンを奪い逃げていく影。やられた!!!
カバンの中には貴重品が何もかも入っていた。もちろんパスポートも。あまりのことにボーゼンとしかできない。
さすがに昼間は、目に見えるところにカバンをおかない、という用心はしていたが、夜だから車の中は見えないんじゃないか、とタカをくくってひざの上にのせ、あとは帰るだけという安心感でうとうととさえしていた。しかも、日本で使っているバッグに、日本と同じように貴重品を放り込んでしまっていたという体たらくで、被害が大きくなってしまった。20年近く前にブラジルで盗難に会ってから、貴重品は分散して身につけるのが一番確実だってことを確信し、しばらくは実践していたはずなのに、だんだんと警戒心が緩んでいた。反省。
同行者が現地の支店に連絡。駐在員が助けに来てくれた。早速空港の警察に行き、被害届を出そうとしたら、盗難にあった地域を管轄する警察に行け、という。犯罪被害者に対するいたわりなど一切なし。今からあんな犯罪多発地帯に行くなんて気持ちはわかず、次の日に出直すことにする。一介の個人旅行者だったら一体どうなってたんだろう?また、幸いeチケットで、変更可能な航空券だったので追加費用なしでフライトを変更出来た。どうやらパスポートは月曜にならないと発行できないらしい。図らずもこの国でもう一度週末をすごすことになってしまった。
マヌケにも、さっきチェックアウトしたばかりのホテルにまた戻る。しかもまた同じ部屋。荷物を運んでくれたのはその時と同じポーター。すっかり顔なじみ。「飛行機に乗り遅れたの?」と聞いてきたので、「というか、盗難にあってパスポートをなくしたので帰国できなくなった」と言うと驚いていた。