ここ数ヶ月、これと言って「自分史」を振り替えるべきテーマが見つからず随分と間が空いてしまったブログの更新。去る2月11日に前々回書いたブログで触れた日本のスキンズバンド、AGGRONUCKLEのライヴを観る機会があり、(その事とは直接関係はないのだが)あるテーマ、切り口が見つかったので思い立って書く事にする。
因みにAGGROKNUCKLEのライヴは最初に観た時の印象そのままに刺激的な体験だった。この日のライヴはSNATCHERというバンドが企画した【Smack Rights JAM vol.002】というイベントで他にはSCAMP、FIGHT IT OUT、HAT TRICKERSという面々を迎えてライヴハウス、新宿ANTIKNOCKで行われた。会場に到着したのが開演して1時間程経った頃だったので既にこの企画の主賓であるSNATCHERの演奏が始まっていた。SNATCHERのライヴはこの日初めて観たのだが、出演陣の顔ぶれから見て企画者としてもただ者ではないと思っていたのだが演奏、パフォーマンスの方も 聞き応え、見応え十分だった。結成して一年程のバンドであるが、原爆オナニーズ、大将等のバンドを経た、かなりのキャリアを持つ熟達したメンバーが集って活動している。簡単にこれ迄の彼らの活動の経過を振り返ると昨年6月に英国のOiバンド、LAST RESORTの来日公演のフロントアクトでライヴデビューを飾り、7月には「REVELATION 13 TATTO FAMILY 震災復興支援LIVE 」に参加。彼ら独自の企画として「レトルト大作戦」と銘打った被災地に物資を届ける活動を行っているという。彼らもまた先の震災を契機に何かに目覚めた日本人の一人だった。他の出演者では横浜を拠点に活動するFGHT IT OUTは個人的に大注目の新世代ハードコアバンド。ドラマー以外のメンバー全員がステージから客席フロアーになだれ込んでのライヴパフォーマンスが、日本のハードコアレジェンドである、かつてのG.I.S.M.を彷彿とさせる「熱い」バンドだ。そしてこの日のトリを務めたのがスラッシュメタル(若しくはハードコア)とロカビリー、サイコビリーのミクスチャーという、かつてスラッシュビリーと呼ばれた独自のサウンドスタイルを確立してアンダーグラウンドシーンにその名を轟かせたSCAMPだった。SCAMPはかれこれ18年前に当時、DJイベント「ロンドンナイト」の企画屋兼DJをやっていた福田氏から「とんでもないミクスチャーバンドがいるんですよ。」と聞かされてライヴを観に行った事があった。また彼らは福田氏が関わっていたSTINKYというインディーズレーベルから『問答無用』という作品をリリースしてもいた。記憶が定かでないのだが、最初に聴いた彼らの音源はスラッシュ~ハードコア系のバンドでいち早くスケーターカルチャーとリンクしたイベントにも意欲的に出演していたGENOAのギタリストだったSEIJI氏がプロデュースした『Far East Thrash Army』というオムニバス作品だった。またVINYL JAPANレーベルからリリースされた日本のロカビリー、サイコビリーバンドのオムニバス『Jappin' Psycho Bomb 1st Appearance』にも参加する等、スラッシュ~ハードコア、サイコビリーとジャンルを跨いで活動していた、まさにオルタナティブな存在だった。そのSCAMPが来る3月7日にDIW/PHALANXレーベルから実に20年振りに新作フルアルバム『音で殺せ!!』をリリースすると言う。ライヴでは短めのセットだったが、途中活動停止もあり紆余曲折を経つつも尚且つ新たな表現衝動に駆られてステージに立つ彼らの不屈の意志のようなものが伝わってきた。十数年前に下北沢シェルターで初めて彼らを観た時から現在まで僕自身に流れた時間と経験を重ね合わせ、何か言い知れぬものが込み上げてきた。
この日のライヴで観たバンドはジャンルやカテゴリーは十人十色、様々だったが共通項は皆、アンダーグラウンドシーンでも郡を抜いて強い意志を持ったツワモノだったと思う。またスキンズ、ハードコア、サイコビリー等のジャンルのショウは皆バイオレントなイメージがあるが、女性客も多く見受けられた。これも時代の変遷を感じたものだった。
とにかく『音で殺せ!!』必聴である。

参考リンク

SNATCHER HP
FIGHT IT OUT HP
FIGHT IT OUT 3/20 BENEFIT SHOW
※新宿ANTIKNOCKで2011年3月20日に開催された東北地方大平洋沖地震のベネフィットショウ"WE MUST BE UNITED AS ONE!"でのFIGHT IT OUTの演奏。
SCAMP HP
Yahoo!JAPANで配信されたSCAMPの新作リリースニュース
CD Journal インタビュー 2011/07 「熱さだけを出したかった」FIGHT IT OUT、2ndアルバム『Talk Shit And Hope』をリリース
DIARY OF THE DEAD 2006/12/24 下北沢251"SCAMP BEST ALBUM リリース記念"
※2006年12月24日付けのDIARY OF THE DEADブログでの下北沢251で行われたSCAMP BEST ALBUM リリース記念ライヴのライヴレポート。
FOOLS DEPT THE SCAMP 2010/01/26
※2010年1月26日付けのFOOLS DEPTブログでのSCAMPの紹介記事。
Psychobilly Documentary
※ダブルベースプレイヤーとして有名なStrangy等が登場するサイコビリーのドキュメンタリー。ひたすらクレイジーだがフレンドリー(?)でもあるサイコビリーのショウの模様を垣間見る事ができる。
Guana Batz:Rock This Town
※マイ・フェイバリット・サイコビリーバンド、Guana BatzのYouTube Mix。
Guana Batz:Rebel Yell [Billy Idol cover]※Guana BatzによるBilly Idolのカバー・バージョン。
GENOA(ゲノア)
※スラッシュ~ハードコアのクロスオーバーバンドの先駆けであり、また日本で初めてスケーターとスラッシュ~ハードコアバンドのコラボイベント「スケーターズ・ナイト」に参加したGENOA。