この1月、父が逝きました。
肺がんで結局なんら治療らしい治療を施されることなく、抗がん剤で1年と半年と少し生き延びた後、静かに息を引き取りました。最後にちょっとだけホスピスを経験され、またわが教会の牧師の癒しの祈りをいただいた数日後、容態を急変させて夜明けを待つことなく。
現在ひとりとなった家で、ごみと格闘しながら日々、つぶやいております。
さて今日は、先に判決の出た関西電力高浜原発3号、4号機再稼動問題に伴う即時差し止め訴訟について。因みにこのブログの方針は反原発、反出兵、護憲主義であります。
関西電力高浜原発3、4号機の再稼働をめぐり、即時差し止めを命じた14日の福井地裁(樋口英明裁判長)仮処分決定の要旨から
①基準地震動である700ガルを超える地震について
基準地震動は原発に到来することが想定できる最大の地震動であり、基準地震動を適切に策定することは、原発の耐震安全性確保の基礎であり、基準地震動を超える地震はあってはならないはずである。
しかし、全国で20カ所にも満たない原発のうち四つの原発に5回にわたり想定した地震動を超える地震が2005年以後10年足らずの間に到来している。本件原発の地震想定が基本的には上記四つの原発におけるのと同様、過去における地震の記録と周辺の活断層の調査分析という手法に基づいてなされ、活断層の評価方法にも大きな違いがないにもかかわらず関西電力の本件原発の地震想定だけが信頼に値するという根拠は見いだせない。
加えて、活断層の状況から地震動の強さを推定する方式の提言者である入倉孝次郎教授は、新聞記者の取材に応じて、「基準地震動は計算で出た一番大きな揺れの値のように思われることがあるが、そうではない」「私は科学的な式を使って計算方法を提案してきたが、平均からずれた地震はいくらでもあり、観測そのものが間違っていることもある」と答えている。地震の平均像を基礎として万一の事故に備えなければならない原子力発電所の基準地震動を策定することに合理性は見いだし難いから、基準地震動はその実績のみならず理論面でも信頼性を失っていることになる。
基準地震動を超える地震が到来すれば、施設が破損するおそれがあり、その場合、事態の把握の困難性や時間的な制約の下、収束を図るには多くの困難が伴い、炉心損傷に至る危険が認められる。
②基準地震動である700ガル未満の地震について
本件原発の運転開始時の基準地震動は370ガルであったところ、安全余裕があるとの理由で根本的な耐震補強工事がなされることがないまま、550ガルに引き上げられ、更に新規制基準の実施を機に700ガルにまで引き上げられた。原発の耐震安全性確保の基礎となるべき基準地震動の数値だけを引き上げるという対応は社会的に許容できることではないし、関電のいう安全設計思想と相いれないものと思われる。
基準地震動である700ガルを下回る地震によって外部電源が断たれ、かつ主給水ポンプが破損し主給水が断たれるおそれがあることは関電においてこれを自認しているところである。外部電源と主給水によって冷却機能を維持するのが原子炉の本来の姿である。安全確保の上で不可欠な役割を第1次的に担う設備はこれを安全上重要な設備であるとして、その役割にふさわしい耐震性を求めるのが健全な社会通念であると考えられる。このような設備を安全上重要な設備でないとする関電の主張は理解に苦しむ。関電は本件原発の安全設備は多重防護の考えに基づき安全性を確保する設計となっていると主張しているところ、多重防護とは堅固な第1陣が突破されたとしてもなお第2陣、第3陣が控えているという備えの在り方を指すと解されるのであって、第1陣の備えが貧弱なため、いきなり背水の陣となるような備えの在り方は多重防護の意義からはずれるものと思われる。
基準地震動である700ガル未満の地震によっても冷却機能喪失による炉心損傷に至る危険が認められる。(朝日新聞2015年4月14日)
→入倉孝次郎氏は基準値震動の根拠について、「発言を曲解された」と反論
↑ なぜ?教授もまた原子力ムラの一員でしたとさ!・・・なんじゃそら。