あなたの街に越してきてから、あっという間に数年が過ぎました。
あなたがいる街に住んでいると言うだけで、私の心は温かく、逞しくなったような気がします。
いつか会えると信じている私は、あなたに似た人を見かけると、未だに思わず振り返ってしまうこともありますが、でも、すぐに背を向けて前に進む癖がついたのは、ようやく、あなたはいないという現実を受け入れられるようになったからかもしれません。
あなたのところには毎月の命日の前後に必ず足を運ぶようにしています。
いつも可愛いお花が飾られ、時にはビールや缶酎ハイが置かれているのを見て、私は、あなたのお母さまの元気な姿を想像していました。
でも、あれから一度も、お会いしたことはなかったのです。
2025年春、あなたの祥月命日を前に、私はいつものように、あなたに会いに行きました。
いつもと同じように緩やかな坂道を上り、満開に咲く桜の花に気を取られていたのです。
ふと視線を感じ、何気なく、そちらに目を移すと、そこには少し腰の曲がった、あの頃と比べたら少しだけ年老いた、あなたのお母さまがいたのです。