今夜観てきたのは2012年ニュースになって、世界中を驚愕させた実話に基づく作品。
まず感想一言目にしたいのは、「この作品に出会えて良かった」ということです。
広大なインドで迷子になった5歳の少年サルーが、いくつもの危機を知恵と生命力で切り抜けていくのだけど、彼自身決して逞しい風貌ではまったくない。だけど不安げな表情と小さな体に不思議とどこか強さが垣間見えるのです。
見た目は年齢相応の5歳で、駅で大人たちの群衆に揉まれているシーンは小さな体がより小さく見えて、可哀想で胸がきゅんと締め付けられます。
映画の公式あらすじで、数奇な運命と書かれているように、まさに数奇。
大人になった彼が、自分の本当の家族を探すまでの葛藤と困難の合間に、少年時代の記憶が散りばめられるのだけど、それがすごく素敵です。切なくて悲しくて、愛情に溢れていて。兄や母との思い出、面影。おぼろげな記憶の中で呼び起こされる光景や家(うち)まで道程。
最後に、答えに辿り着いた時うっすら流れた涙の価値は計り知れません。
実話だからおおまかな結末は知っていたはずだけど、それをストーリーとして追っていくと本当に圧巻だな、と感動もひとしおでした。
サルーの子役が本当に良かった。とにかく声が可愛い。ご本人の少年時代にもそっくりでした。
観終わったあと人に勧めたくなる、話したくなる、そんな素晴らしい作品だったと思います。