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Holiday Life

日々のささやかな出来事旅記録、映画感想など

素敵な作品と言って良いべきか悩みますが、題材に対して真摯に向き合うことのできる内容になっていました。
監禁=犯罪でありサスペンス色が強いのかと思いきやまっすぐな家族の物語。過酷な境遇で唯一の救いとなる息子を、真正面から受け止め愛情を注ぐ母の姿は悲壮でありながらも逞しく美しい。そんな母と納屋の部屋だけが世界の全てだった息子は監禁という意識がないせいか笑顔が印象的。
外の世界に出たあとの二人の対照的な変化に複雑な気持ちになりました。家族との感動的な再会に赴きをおくことなく、逆に空白の時間に出来てしまった違和感や変化に葛藤する母の姿が切なかった反面、新しい世界でどんどん吸収していく息子にうれしい気持ちになりました。映画だけど、嘘のない家族の物語。家族愛の奥深さに触れました。
ラストで監禁場所を訪れるシーン。決別ともとれるけど、この小さな世界でも二人だったから不幸じゃなかったよ、と言っているような気がしてじーんときました。