すごく考えさせられる恋愛漫画だなって改めて感じた劇場版後編でした。
いろんなキャラクターの様々な弱さに触れました。
矢野を想い、信じ、待ち続ける中で弱さを押し込める七美。
自分のせいで誰かが傷付くことを恐れ、気持ちを偽り弱さと葛藤した矢野。
自分を必要として欲しくて、愛情を求めて弱さを理由にした山本さん。
それぞれに意味があって考えがあって矛盾があって・・・無償にもどかしさを覚えていつの間にかキャラクター一人一人に振り回されていました。特に矢野は良い面と悪い面があからさま過ぎて、かなり危険人物。そういう魅力が人を引き付けるんだろうけど、少し感情移入はしにくかったかな。
ただ、背負うものが重すぎると人は大切なものも手放す選択だって出来てしまうんですよね。そういう複雑なことを、まだ若い矢野の人生から教わった気がしました。自分の幸せではなく、何よりも彼の幸せを望み健気に根気強く待ち続けた七美だったからこそこのラブストーリーは成立したことと思います。
けれど、ラストは短時間の映画では表せきれてなかった感じも。
矢野と七美の答えが見つかるまでの長い年月、実は竹内くんの時間こそ一番長かったように思います。いち女性の立場から言わせて貰えば、竹内くんを選ばなかった七美は大馬鹿者です。
竹内くんにこそ幸せになって欲しかった私としては、最後のみんなハッピーエンドがごまかされた感じで嬉しい反面悔しかったり。
こんなに長くて切ない季節をめぐった恋愛漫画は久々です。
でもやっぱり恋っていいなって思わせてくれる、不思議な魅力に溢れた作品でした。