「グラン・トリノ」
思わず出そうになった涙をぐっと堪えたくなるような作品でした。
誰もが、ウォルトとタオの不器用ながら心温まる関係性に、言葉は要らずただ黙って見入ってしまうのではないかと思いました。互いの中で何かが変わっていく・・・それを自覚し、自分以外の誰かの言葉を受け入れたいと思う喜びに深く感銘を受けました。
すでに病で先が長くないと知った彼が導いた結末に、本当の家族以上の愛情と、慈しみ溢れる勇気を感じました。
後半にかけて僅かながらに命を削られていくような描写の中、白髪で皺混じりのウォルトの背中がなんて偉大で力強いこと。誰がなんと言おうと、彼は過去の行いを懺悔し本当の意味で"英雄"になったのだと私は思いたいです。
「チェンジリング」
私が思っていたよりずっと冷酷で、ずっと奥の深い人間ドラマでした。
まさかここまで切なく、恐ろしく、芯まで訴えかけてくる作品だったとは・・・・・正直実話を元にしているなんて想像もしたくなかったです。
母親のあらゆる行動や言葉の中に美しく純粋な親子愛が幾つも溢れていて、それを脅かすようなあらゆる困難に何度も悲しさや憤りを覚えました。この作品は本当の意味で人の強さを問うものであり、どんな困難にも臆することなく真実を貫き通す意志、大切なものを守ろうとする逞しさなど、人間の素晴らしい姿を信じさせてくれたような気がします。
二作品とも、それぞれの愛情がもたらした結末に衝撃を受けました。
観終わった後、しばし言葉を失くして作品を思い返してしまいます。
素敵な作品に感謝です。