観る前の予想を大きく上回って満足のいく「魂」を揺さぶられた作品でした。
ただ、霊能関係に否定的な考えをお持ちの方にはあまり興味はひかない作品でもあると思います。
正直言って、この映画を良いととるか悪いととるかは、その人次第であって、どちらも間違えではない気がします。
それだけ感想の分かれる作品。
ただ私は、もう一度観たい。こんなに静かに心に浸透する作品に出会える機会って意外とないですからね。
唯一懸念なのは終わり方がはっきりとしていないことです。でもよく考えてみると、「死」や「生」にハッキリとした答えがないように、この作品に、この内容に完結など用意できるはずがないと思うのでハッキリしないぼやけたエンディングはむしろ良かったんじゃないかと思います。これで何もかもハッピーみたいな方が心は温かくなるけれど、「死」をテーマにしている以上取り払わないでおくべきものもありますよね。
パニック映画さながらのオープニングにびっくりしたけれど、流れに任せての展開じゃなくて、違う形で「死」に直面した三者のエピソードをきちんと見せてくれていました。サンフランシスコとパリとロンドンの空気感とその切り替えが見事。
バックで流れるピアノの音色もそのタイミングも、そして要所に散らばった三人のバックグラウンドの表現方法に脱帽です。単純に「死」に囚われたものたちの再起を語ったものではなくて、「幸せ」とは何なのかを示唆しているようにも思えました。生きる喜びを見出していく過程のほんの入り口・・・それがこの映画で描かれています。
そして、頬に一筋涙が伝うシーンがあったのですが、どんな号泣シーンよりも重たくて切なくて、胸にずきんと突き刺さるものがありました。少年マーカスの帽子のシーンは震え上がるような感覚と同時に、観客ながら彼を見守る母性的な感覚も覚えました。私はああいう隠された愛情シーンにとにかく弱いのです。
ジョージの手を握った時の「優しさ」に触れ、決して嘘をつかない彼のついた唯一の「嘘」かもしれない死者からのメッセージ。彼に流れる空気や表情は、深くて、穏やかで、(矛盾してるけど)ひんやりと温かい不思議な感じ。
3人が同じ場所に居合わせたという「必然」的な出会いに、奇跡とはこういうものだと実感しました。
この映画は特に誰かに勧めたりはしません。
それは知り合いが観て「あんまりだった」って言っていたから。私がこんなに感動した作品をツマラナイと感じた人もたくさんいそうなので;
とはいえ、個人的にはいい作品と出合えて感銘を受けることができて幸せです^^